原告団「一つの幕が開いた」 ハンセン病家族に政府謝罪 首相姿を見せず、不満の声も

西日本新聞 夕刊

 「長く続いたハンセン病問題の解決に、一つの幕が開いた」-。ハンセン病家族訴訟の控訴見送りに関する安倍晋三首相談話と政府声明が発表された12日、原告団は安堵(あんど)の声を漏らした。ただ、首相談話に謝罪は盛り込まれたものの、この日、首相は原告の前に姿を見せず、具体的な補償内容の調整もこれから。原告には不満もくすぶった。

 「不当な隔離政策の中で生涯を終えた肉親も、さぞかしほほ笑んでくれると思う」。原告団長の林力さん(94)=福岡市城南区=は、首相談話の内容に胸をなで下ろした。

 林さんは13歳の時、父親が国立ハンセン病療養所「星塚敬愛園」(鹿児島県鹿屋市)に収容された。「らいの家」と差別を受け、結婚を考えた女性とも別れた。1974年、著書で患者の息子だったことを明かし、訴訟では提訴時から原告団を代表して取材や講演に応じた。「国は、民主主義国家として(ハンセン病問題を)正面から取り上げてこなかった。今後、具体的な補償や啓発の在り方を求めていきたい」と語った。

 原告の一人、奥晴海さん(72)=鹿児島県奄美市=も「生きている間に謝罪してほしいと求めてきた。謝罪が盛り込まれたのはうれしい」と評価した。

 ただ、原告が求めてきたのは首相からの直接の謝罪だ。原告副団長の黄光男さん(63)=兵庫県尼崎市=は「首相は私たちの前に出てきて、謝罪する気持ちがおありなのか。今日もご多忙とは承知しているが、どうだろうか」と首をかしげた。

 同席した弁護団の八尋光秀共同代表は「最終目標はハンセン病という偏見、差別の構造を打ち崩していくことにある。その取り組みを政府と共同して行っていきたい」と述べた。 

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