夫婦別姓、参院選争点に浮上 首相だけ賛否に挙手せず

西日本新聞 社会面

東京・内幸町の日本記者クラブで開かれた討論会に出席した与野党7党首ら=3日 拡大

東京・内幸町の日本記者クラブで開かれた討論会に出席した与野党7党首ら=3日

 21日投開票の参院選で、選択的夫婦別姓が争点として浮上している。日本記者クラブで3日に行われた与野党7党首の討論で挙手による賛否が問われ、安倍晋三首相(自民党総裁)だけが手を挙げなかったことから、政党間の態度が明確になった。最高裁判決で「国会で論ぜられるべき問題」と指摘されて4年。果たして議論は進むのか‐。

 「わざわざ結婚を知らせたくないのに」。商社で働いていた福岡市の40代女性は、結婚で夫の姓に変えた当時を思い返す。名前が入る社用のメールアドレスなどの変更を求められ、関係先に結婚の報告と変更を依頼。相手に一手間を強いる申し訳なさも感じた。

 夫婦の9割が結婚の際に夫の姓を選んでいるが、いずれ離婚や再婚を選択する人もいる。姓の変更と同時に私生活が周りに知られ、本来なら不要な「苦痛」を受ける人も少なくない。

 政府によると、夫婦同姓を法律で規定している国は日本以外に把握されていない。最高裁は2015年12月、夫婦同姓を原則とする民法の規定を合憲と判断した上で、選択的夫婦別姓については「国会で判断されるべきだ」とした。国連女性差別撤廃委員会も、政府に夫婦別姓の導入を勧告してきた。

 法務省は法制審議会の答申を受け、1996年と2010年に選択的夫婦別姓導入の改正法案を準備したが、いずれも保守派の反対などで国会に提出されないままになっている。

 こうした中、市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」は、全国の80以上の地方議会に対し、選択的夫婦別姓の導入や審議を求める意見書を国に出すよう働き掛けている。昨年12月から7月上旬までに22議会で請願や陳情が可決されたという。

 事務局長の井田奈穂さん(43)は「政争の具になるのは残念だが、参院選の争点になってこの問題が可視化されつつある」と受け止める。夫婦間で妻の姓への統一を決めていたのに、夫の親族が反対し事実婚を選択したり、破談に陥ったりしたケースもあるという。

 一方、夫婦同姓の利点もあるという声も女性にある。先の女性は職場では困ったが、夫の姓に変えて「触れたくない過去の人間関係」を断ち切れたと感じた。新たな本名で登録しても、会員制交流サイト(SNS)で安易に探し出されない安心感があったという。

 実体験と賛否両論を踏まえ、女性は「結局は希望して姓を選べるのが、みんなが納得できる方法ではないか」と話している。

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