「家族の貧困救済を」 九州のハンセン病療養所入所者

西日本新聞 社会面

 12日に発表されたハンセン病家族訴訟に関する安倍晋三首相談話と政府声明について、九州の国立ハンセン病療養所の入所者は前向きに受け止めた。

 菊池恵楓園(熊本県合志市)の志村康入所者自治会長(86)は、謝罪や人権啓発の強化を盛り込んだ首相談話について「救われた。希望、光が見えてきた」と評価した。

 家族の中には就職差別を受けて職場を転々とし、貧困にあえぐ事例もあるという。「入所者がもらう年金に頼らざるを得ない家族もいる。判決が認めた賠償額は多くない。家族の貧困についても踏み込み、幅広く救済する必要がある」

 一方で、政府声明については「首相談話と矛盾する」と首をかしげる。入所者の9割超が家族への差別を恐れて両親の墓参りができないといい、「国は、差別があるという現実から出発するべきだ」と注文した。

 星塚敬愛園(鹿児島県鹿屋市)入所者自治会長で、弟と妹が原告に加わった岩川洋一郎さん(82)は「ありがたい結果だと思う」と歓迎した。

 入所者の多くは家族に迷惑をかけまいと、本名と違う「園名」で暮らす。高齢化した入所者の家族が、園に対し「葬式が終わって連絡を下さい」と告げることもあるという。

 岩川さんは「ハンセン病を患った人に限らず、家族への差別も想像を絶し、家族関係にも影響を受けてきた。政府だけでなく、国民一人一人がこの問題を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と願った。

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