此岸(しがん)と彼岸を隔てる三途(さんず)の川の渡り賃は6文…

西日本新聞 オピニオン面

 此岸(しがん)と彼岸を隔てる三途(さんず)の川の渡り賃は6文。故人を荼毘(だび)に付す際、紙に印刷した六文銭をひつぎに入れる風習がある。この世でいろんな苦労をした人が無事に川を渡り、あの世で安らかに過ごせますようにとの思いがこもる

▼そんな庶民のつつましい願いすら揺るがすのが少子高齢社会なのか。〈渡り賃むかし六文いま二千万〉と7月8日付の本紙「ニュース川柳」に。昔は彼岸への旅立ちに備え6文用意しておけばよかったが今は2千万円-。年金を巡り露呈した「老後2千万円問題」の核心を射抜いた句だ。人生100年時代、いざという時のためお金の算段は欠かせない

▼ただ、多くの方のより切実な悩みは長い老後をどう生きるかでは。参考になる投稿が6月15日付の本紙「こだま」にあった。筆者は徳永ときのさん。97歳のみずみずしい文章に目を見張った

▼〈年を重ねることは意外と楽しいものです〉〈人生に遅過ぎるということはない〉〈いつだって今が一番若いのです(明日より今日が若い)〉〈変えられるものは変え、変えられないものは受け入れることです〉

▼そこにあるのは明るくて前向きな諦念か。「勇気が湧いた」「こんなふうに齢(よわい)を重ねたい」。こだまには今も反響の投稿が続く

▼徳永さんはこんな金言も記した。〈一生の終わりに残すものは、ものではなく与えたものである〉。財に乏しい筆者でも何かできることがありそうだ。

PR

アクセスランキング

PR

注目のテーマ