新幹線西九州ルート論戦低調 2候補者ともフル規格派 参院選長崎

西日本新聞 長崎・佐世保版

九州新幹線西九州(長崎)ルートで新鳥栖-武雄温泉の整備方式が見通せないまま2022年の暫定開業に向けて工事が進むJR長崎駅周辺 拡大

九州新幹線西九州(長崎)ルートで新鳥栖-武雄温泉の整備方式が見通せないまま2022年の暫定開業に向けて工事が進むJR長崎駅周辺

 九州新幹線西九州(長崎)ルート新鳥栖‐武雄温泉の整備のあり方を巡る論戦が、参院選長崎選挙区では影が薄い。事実上の一騎打ちとなっている自民現職の古賀友一郎氏(51)、4野党共同候補で国民民主新人の白川鮎美氏(39)とも「フル規格で整備」の立場。大きな地域課題とはいえ、対立候補と違いを出しにくい事情もあるようだ。

 自民は参院選の公約で新鳥栖‐武雄温泉についてフル規格かミニ新幹線かは示していないが「早期着工を目指す」と明記。国民民主は整備新幹線に関し、武雄温泉‐長崎の「着実な建設の推進を目指す」としたが、新鳥栖‐武雄温泉の整備には触れていない。議論のボールは佐賀側に投げられている状況だ。

 会場は立ち見が出るほどの熱気に包まれていた。佐賀市内で6月に開かれた長崎ルート関連のシンポジウム。佐賀県内8市町の有志議員による「佐賀県フル規格促進議員の会」が企画、フル規格推進派が集まった。長崎県内からも政財界から関係者が駆け付けた。

 シンポ開催の背景には、フル規格に難色を示す山口祥義佐賀県知事の姿勢がある。佐賀県は、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が在来線を走る方式には合意していたが、与党がFGT導入を断念した。山口知事は並行在来線の将来や、新たな県負担に関する議論が深まらないままの「フル規格前提での議論」に反発している。

 山口知事と、フル規格を求める長崎側の溝は深い。その溝を埋めるのは、まさに政治の役割だが、選挙戦で与野党の2候補が新幹線問題に触れることはほとんどない。長崎県のある幹部は「双方とも『全線フル規格』賛成で安心しているが、整備機運を盛り上げるため、より活発な論戦があってもいいのだが…」と打ち明ける。

 有権者からも多様な意見が聞かれる。長崎市の会社員男性(35)は「佐賀にフル規格のメリットはない。長崎県が(佐賀の負担を)肩代わりしてでもフル規格を目指すべきだ」。同市の主婦(64)は「需要を考えて、身の丈に合った方法を探ってみては」と進展を見守る。こうした有権者の声も、与野党の2候補が論戦に至っていない現状では参院選の投票行動に結び付かない可能性がある。

 与党検討委は参院選後にも、フル規格かミニ新幹線かの整備方針を決定する予定。当初方針は「6月末決定」だったが、決定強行は参院選に悪影響が出るとみて、判断を先送りしている。

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