ギリシャ神話のミダス王は、神に願って触れる物を全て黄金にする能力を得た…

西日本新聞 オピニオン面

 ギリシャ神話のミダス王は、神に願って触れる物を全て黄金にする能力を得た。大喜びもつかの間、手に取った食べ物まで黄金になって飢えに苦しんだ。能力は強欲なミダスへの罰だったのだ

▼「王様の耳はロバの耳」の王様もこの人。音楽神アポロンに別の神が演奏の勝負を挑んだとき、審判の1人に選ばれた。他の審判は全員、アポロンの勝ちとしたが、ミダスは従わなかった。怒ったアポロンはミダスの耳をロバの耳に変えてしまった

▼ミダスは耳を隠していたが、理髪師に知られた。黙っていられなくなった理髪師は地面に穴を掘って「王様の耳は…」と叫び、穴を埋めた。やがて、そこに生えたアシが「王様の耳はロバの耳」とささやくようになり、世間の知るところに

▼隠そうとしても秘密は漏れるもの-。そんな教訓も読み取れる。「王様は無能」という“秘密”も。英国の駐米大使が、トランプ米大統領を「無能」と本国に報告した。極秘のはずの外交情報が英紙にすっぱ抜かれた。大統領は激怒し、大使は辞任に追い込まれた

▼国際社会の決定に従わず、強欲に自国の利益を追求するトランプ氏である。人権問題などで国内の分断も深めた。大使の報告はあながち的外れとも言えまい

▼ミダスは強欲さを悔いて黄金に変える能力から解放され、理髪師を許すことで耳は元に戻った。現代の世界を「乱(みだ)す王」は、神話の教訓に傾ける耳は持たぬか。

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