改憲訴え首相空回り? 公明冷ややか野党静観 参院選

西日本新聞 総合面

 安倍晋三首相が参院選で憲法改正の必要性を声高に訴えている。街頭演説では自身が提起した9条への自衛隊明記を主張し、改憲論議に消極的な野党への批判を繰り返す。ただ、野党は首相の挑発に乗らず、連立を組む公明党も改憲の争点化には冷ややか。自民党の候補者も改憲には触れたがらず、前のめる首相の姿勢は空回り気味にも映る。

 「憲法論争に終止符を打つために、憲法にしっかり自衛隊を明示してまいります」。首相は11日、大分市や福岡市での街頭演説でも改憲を訴えた。

 首相は今回の参院選で、福島市での第一声から改憲に言及した。2016年参院選、17年衆院選の第一声では触れておらず、意欲が際立つ。

 しかも訴えは攻撃的だ。「堂々と議論を進めていく政党を選ぶのか、国会議員としての責任を放棄して審議を拒否する政党を選ぶのか。それを決める選挙だ」。これまで衆参両院で改憲に前向きな「改憲勢力」で3分の2の議席を確保しながら、国会での議論が全く進まないことへのいらだちがにじむ。

 ただ、首相と与党の温度差は否めない。公明は議論を進めることには理解を示すが、山口那津男代表は9条改憲について「争点として問えるような熟度があるのかどうか疑問がある」。自衛隊の明記に関しても「国民の大多数が容認している。あえて憲法に書くことの意味がどこにあるのか、必ずしもはっきりしない」と距離を置く。

 選挙戦でも論戦は乏しい。ある自民候補者は「街頭演説で改憲に言及することはほとんどない」と明かす。推薦を受けた公明への配慮に加え、有権者の反応が薄いからだという。共同通信社の世論調査では、安倍政権下での改憲に反対が51・4%、賛成が34・2%。自民関係者は「首相の思いは分かるが、憲法は票につながらない」と話す。

 野党も首相の批判を受け流し、年金問題などの訴えに注力する。自民を中心とする「改憲勢力」が引き続き3分の2を維持する結果になっても、国会審議に応じなければ、改憲の発議にはこぎ着けられないと高をくくっているようにも見える。

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