参院選「家計重視」花盛り 各党、不安解消に躍起

西日本新聞 一面

雨の中、経済政策を訴えて有権者と握手する候補者=14日、福岡市中央区 拡大

雨の中、経済政策を訴えて有権者と握手する候補者=14日、福岡市中央区

 21日投開票の参院選で、与野党は競い合うように社会保障充実や家計重視の政策を訴えている。10月に消費税率10%への引き上げを控え、選挙直前には老後資金不足問題も浮上。将来への不安が広がる中、各党とも具体的な数字を並べて「暮らしの安心」のアピールに躍起になっている。

 「賃上げ、教育費の支援。高齢者だけでなく、若い人、特に子育て世代の暮らしを守るのは、安定した自公の政治だ」。13日、大分県日出町での演説会で、自民現職は声を上げた。

 自民はアベノミクスの成果と消費税増税により、全世代型の社会保障を構築すると訴える。公約には幼児教育・保育の無償化や、最低賃金の全国平均時給千円を目指すと明記。「中小企業をかつてない制度で応援する」と主張する。

 公明党は、幼児、私立高、大学・専門学校の「三つの無償化」をアピール。増税対策として、低所得者や子育て世代向けのプレミアム付き商品券配布などを掲げる。福岡選挙区の新人は「家庭の経済的格差が教育力の格差につながらなくていいようにする」と力を込める。

 一方、野党は消費税増税に反対の立場で一致。アベノミクスの恩恵が実感できない有権者の不満の「受け皿」を狙い、家計を重視する政策への転換を前面に打ち出す。

 宮崎選挙区の立憲民主新人は「地域間の所得格差を縮め、最低賃金を1300円に引き上げる」と主張。公約では年金の最低保障機能の強化、小中学校の給食の無償化など、手厚い社会保障を強調する。

 国民民主党は「家計第一」を掲げ、児童手当の拡充や年収500万円以下の世帯への月1万円家賃補助を盛り込む。佐賀選挙区の元職は「国民の99%を占める私たちより、1億円以上稼いでいる1%の人たちの方が税率が低い。応分の税負担を超高額所得者にも求めるべきだ」と訴える。

 福岡選挙区の共産新人が強調するのは「安心できる年金、減らない年金制度」だ。共産党は、物価や賃金の伸びより年金給付を抑える「マクロ経済スライド」の廃止や、低収入の年金生活者に月5千円の上乗せ支給のほか、最低賃金1500円などを主張する。

 社民党は児童手当の拡充や子ども医療費の無料化を公約に掲げている。

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■財源論は心もとなく

 参院選では与野党ともに社会保障の充実や家計重視をアピールするが、必要な財源をどう確保するかはあいまいだ。

 与党が掲げる幼児教育・保育の無償化や低年金者への給付金など「全世代型社会保障」の財源は、10月に予定する消費税率の引き上げによる税収増。安倍晋三首相は街頭演説で「打ち出の小づちはない。財源を確保し、厳しい方々に光を当てる」と負担増に理解を求める。

 ところが首相は3日の党首討論で、将来の消費税増税は「今後10年ぐらいは必要はない」と発言した。選挙戦ではアベノミクスで税収が増えた実績を強調し、景気に左右されない安定財源には触れない。

 6年後には「団塊の世代」が75歳以上になる。社会保障の財源を経済成長だけに頼る首相の楽観論に異論は強く、公明党の山口那津男代表は「責任ある発言として受け止めきれない部分もある」。もっとも、公明は消費税増税に伴う軽減税率の導入を主張し、増収効果が大きく目減りすることに目をつぶっている。

 消費税増税の反対で足並みをそろえる野党の財源論はさらに具体性を欠く。

 立憲民主党は金融所得課税や法人税などの見直しを掲げるが、確保される財源規模は示さない。マニフェスト(政権公約)が破綻した民主党政権の記憶を引きずっているためで、党幹部は「公約はあくまで目指す社会像を示すもの。財源論を示せば縛られる」と打ち明ける。

 「家計第一」を掲げる国民民主党は、児童手当増額などの公約実現に約6兆円を見込む。財源に打ち出したのは子育て支援を目的とした「子ども国債」。新たな借金を堂々と財源論の柱に据えている。

 共産党は公約で「消費税に頼らない道」として、大企業の優遇税制廃止や高所得者への所得課税強化、防衛費削減などで7・5兆円の財源を確保できるとしている。

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