バクタプル(ネパール) 古都の「迷路」をさまよって

西日本新聞 夕刊

旧王宮があるダルバール広場でダンスを踊る民俗衣装の女性と少女 拡大

旧王宮があるダルバール広場でダンスを踊る民俗衣装の女性と少女

旧王宮の入り口「ゴールデンゲート」。細やかな伝統彫刻に見とれる ダルバール広場のゲート近く。獅子の像と並んでひなたぼっこする人たち ネパール地震で被災した寺院。被災の跡はあちこちに残る バクタプル名物のデザート「ズーズーダウ」。濃厚でクリーミーなヨーグルトだ 「五重塔」が特徴のニャタボラ寺院にはネパール人の参拝客も多い

 街全体が赤茶色。ネパールの首都カトマンズの東約12キロに位置するバクタプルは、れんが造りの古い寺院と建物が残る古都だ。15世紀から18世紀にかけて栄えたかつての首都は、映画「リトル・ブッダ」の撮影地にもなった世界文化遺産の一部。欧米や中国からの旅行者の姿も多い。

 旧王宮や寺院が集まるダルバール広場に入ると、巨大な獅子の像が出迎えてくれる。日本の神社のこま犬にも似て、文化のつながりを感じる。獅子の足元では、おじいさんとおばあさんがひなたぼっこ。車両の進入が制限されており、砂ぼこりと車のクラクションを浴び続けるカトマンズの騒がしさとは別世界だ。

 広場の中央では、民族衣装の女性と少女が手をつなぎ、くるくると回るように踊っていた。運良く結婚式に遭遇したようだ。すてきなダンスに、しばし見とれた。広場を奥に進むと、旧王宮入り口「ゴールデンゲート」がある。黄金に輝く門には、見事な彫刻が施されていた。

 土産物店が並ぶ路地を抜けると2、3分でトウマディー広場に到着した。ここのシンボルはニャタポラ寺院。高さ約30メートルの「五重塔」は迫力がある。

 ピラミッドのような土台部分には急な階段があり、その両側には武器を持った男性や象、獅子の像が一対ずつ配置されている。息を切らして登ると、目の前には周囲に竹の足組みが張り巡らされたバイラヴナート寺院。2015年4月のネパール地震で被災し、修復作業が続いていた。
    ◇   ◇ 
 地震で崩れ落ちたままの、れんが造りの建物を眺めながら街を進んだ。山盛りの野菜の露店が並び、お菓子の出店の周りで子どもたちが遊ぶ。道ばたにはチェスを楽しむ年配の男性たち。路地の先には陶器職人の村があった。

 ふと気付けば、周りには野菜や果物、衣類、洗剤など生活必需品の商店ばかり。観光客はいない。いつの間にか、地元住民の生活圏に迷い込んでしまった。スマートフォンの地図アプリで居場所を確認しようとしても、Wi-Fi(ワイファイ)環境はない。

 多分、きっと、こっちだろう。そんな勘はことごとく外れ、住宅街を行きつ戻りつ。中世の街並みは、まるで迷路だ。さまよい歩いて1時間。やっと、ダルバール広場のゲートの外側にたどり着いた。街をぐるりと歩いたようだ。

 目についた喫茶店に入り、香辛料が利いた紅茶「ネパリ・ティー」ともう一品、バクタプル名物のデザートを注文した。その名は「ズーズーダウ」。別名は「王様のヨーグルト」だ。

 ヨーグルトがこんもり盛られたご飯茶わんほどの器は、片手で持つとずっしり。スプーンで口に運ぶと、食感はねっとり。まろやかな甘みと軽やかな酸味はレアチーズケーキにも似ているが、濃厚でミルキー、かつクリーミーで実においしい。ぺろりと平らげ、紅茶を飲み干すと、疲れは吹き飛んでいた。

 ●メモ
 首都カトマンズからタクシーで40~50分。料金は交渉次第で片道1000㍓(約1000円)程度。ただし、現地からカトマンズに戻るタクシーの確保は困難。往復料金と滞在時間2~3時間の待機の分を含めた3000~4000ルピー程度でチャーターした方が安心だ。

PR

PR

注目のテーマ