ボランティア1万3000人が「スクラム」 ラグビーW杯開幕まで2カ月余

西日本新聞 夕刊

福岡会場のリーダー研修会に参加する小玉展子さん(左端) 拡大

福岡会場のリーダー研修会に参加する小玉展子さん(左端)

現役のラグビー選手時代の平さん(右)と義理の父の池田さん(左) ボランティアに支給されるユニホームや帽子

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会の開幕まで2カ月余り。9月20日からアジアで初めて開かれる楕円(だえん)球の祭典で成功の鍵を握るのが、W杯史上最多の約1万3千人が参加するボランティアだ。街頭での案内からVIP対応、試合会場での運営補助など、役割は多種多様。試合会場の一つ、福岡でも、さまざまな思いを胸におもてなしの準備が進む。W杯を契機に新たなスポーツボランティアの文化が根付くか-。

 W杯日本大会のボランティアは「TEAM NO-SIDE(チーム・ノーサイド)」と名付けられた。試合終了を意味し、戦った後は敵味方なくたたえ合うラグビー精神が込められている。44日の大会期間中に海外から50万人以上の訪日が見込まれるビッグイベントを裏方として支える。

 募集を始めた2018年4月には1万人の予定だったが、約3万8千人の応募があり、大会組織委員会は「多くの人に関わってほしい」と3千人増やして採用。男女比は、ほぼ半々。年齢は18歳から88歳と幅広い。プレー経験者は約1割でボランティア未経験者も全体の6割近くいる。生き方の転機にW杯を活用しようとする意識も見える。

 ■VIP対応のリーダー 

 全国12会場のうち福岡会場では約700人が活動予定。10人ほどのチーム単位で動くため、まとめるリーダーが約70人いる。6月下旬に福岡市であったリーダー向けの研修会に出席した同市西区の主婦小玉展子さん(59)は、航空会社の国際線客室乗務員だった経験を生かした英語力と接客でVIP対応を務める。

 小玉さんは11年ほど米国で生活したことがあり「ボランティアは生活の一部だった」。地域活動からボストン・マラソンなど、幅広く活動した。「日本でもチャレンジできるのはありがたい。自らの成長につながるし、少しでも力になりたい」。福岡で試合をするフランスやイタリアの言語も勉強中という。

 ■義理の息子と二人三脚 

 福岡県志免町の無職池田茂生さん(62)は人生初のボランティアを楽しみにしている一人。

 娘の夫は長崎南山高出身でW杯に2度出場し、07年大会のカナダ戦で終了間際にトライを決めるなど活躍した平浩二さん(36)だ。サントリーの選手だった平さんは現役引退後に営業マンとして勤務し、現在は福岡在住。今回の開幕500日前イベントにゲスト参加するなど盛り上げに一役買っている。

 「義理の息子が出場したあのW杯が日本で開催されるのは夢のよう。福岡の試合会場まで歩いて行ける」。池田さんは意気込む。

■東京五輪とも連携計画 

 W杯のボランティアには日当や宿泊費はもちろん、来年の東京五輪で支給される交通費(同五輪では1日千円のプリペイドカード)も出ない。特典といえば活動する際に身に着けるポロシャツの公式ユニホームやリュック、帽子ぐらい。組織委は海外のような休暇を取って気軽に参加するボランティア文化が根付いていない国内事情も考慮し、会場ごとに参加者の最低限の活動日数を決めて希望日を調整し「やる気」を引き出している。

 W杯組織委と東京五輪・パラリンピック両組織委は17年4月に連携・協力体制を構築する協定を締結。W杯の一部ボランティアに東京五輪のボランティアへの優先枠も設けて“相乗効果”を期待している。W杯がスポーツボランティアの在り方を変えるレガシー(遺産)を残せるか、にも注目が集まる。 

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ