土砂災害対策空き家が壁 所有者つかめず撤去困難 北九州市

西日本新聞 社会面

西日本豪雨で土砂崩れに巻き込まれた民家。奥の家が傾き、手前の家にぶつかっている=昨年7月、北九州市門司区 拡大

西日本豪雨で土砂崩れに巻き込まれた民家。奥の家が傾き、手前の家にぶつかっている=昨年7月、北九州市門司区

北九州市の空き家件数

 昨年7月の西日本豪雨で崖崩れが多発した北九州市で、崩壊の危険がある老朽空き家への対応が課題となっている。市は政令市で3番目に空き家の割合が高く、土砂災害のリスクがある斜面住宅地に集中している。西日本豪雨では、土砂が空き家を巻き込み隣接する住宅に迫った。行政は対策に手をこまねいているわけではないが、所有者特定に時間を要するなど、クリアすべき壁が立ちはだかる。

 「本当に怖い」。八幡東区帆柱4丁目の斜面住宅地。高橋華代さん(56)は不安な表情を隠さなかった。昨年の豪雨では裏山が崩れ、隣接する空き家も倒壊した。「ばきばきっ」。激しい雨が降る中、突然、大きな音がした。土砂と一緒に、空き家の部材が自宅から十数メートルの距離に迫った。

 所有者は関東圏に住む高齢男性。豪雨から1カ月後に撤去された。「所有者が対応してくれたので運が良かった。ただ、周りには、ほかにも多くの空き家がある」(高橋さん)。裏山は崩れたままでブルーシートがかかり、倒壊したブロック塀や瓦が残る。

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 北九州市では昨年の豪雨で、土砂・崖崩れが全7区で計407件(門司区が最多の175件)発生。八幡東区は2番目に多い105件の被害が出た。

 警察や消防は次々と入る通報の対応に追われた。八幡東署の藤渡祐輔警備課長は「山あいに家があり、高齢者も多い」と地域の特性を指摘する。

 総務省が2013年に行った住宅・土地統計調査によると、市の空き家率は14・3%(7万1160戸)。政令市では大阪市、岡山市に次いで高い。熊本市は14・1%、福岡市は12・2%だった。

 市は14~15年、老朽空き家の実態調査を行い、7296件を把握。倒壊や崩落の「危険あり」と判定した3397件のうち、半数に当たる1726件が斜面地が多い門司区と八幡東区にあった。斜面地の住宅は不動産流通に乗りにくく、居住者がいなくなると放置される傾向にあるという。

 市は所有者を捜し、危険性を知らせる通告書を送るが、解決には時間を要する。「通報があればすぐに職員が現場を確認している。危険な空き家の撤去は進めたいが、所有者による撤去が基本となる」。八幡東区役所の担当者はこう話す。

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