【備えは】斜面地の防災進まず 民有の崖 改善指導のみ

西日本新聞 北九州版

 昨年の西日本豪雨で2人が土砂崩れの犠牲になった門司区には、高度成長期の急速な宅地開発によってできた斜面住宅地が点在している。古い排水設備や狭い道路が残る地区もあり、昨年の豪雨では避難経路に大量の雨水が流れ込み、住民の行く手を阻んだ。県や北九州市は側溝の整備などに取り組むが、対策はなかなか進んでいないのが現状だ。

 豪雨に見舞われた昨年7月6日午前7時15分ごろ、同区上藤松2丁目(約150世帯)の坂道が川のようになった。坂道の道路幅は車1台が通れる程度で、一部の排水溝からは膝下の高さまで泥水が噴き出した。

 上藤松2丁目は山の中腹に位置し、一部が土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている。昭和30年代に行政の許可を得た民間企業が宅地開発し、山腹上方にある採石場の跡地近くまで造成。住民によると、地区内では大雨や台風の度に土砂が流出しており、市や県に災害対策工事を要望し続けてきたという。

 昨年の豪雨では、採石場跡地の崖から地滑りが発生。市は今年の梅雨入り前に排水管工事や側溝の整備に着手したが、道路の拡幅は手つかずだ。

 さらに、採石場跡地の崖の安全対策については、所有者側が自己負担するケースに当たるため、市が崖の所有者に改善指導するにとどまっている。

 県北九州県土整備事務所によると、市内では土砂の崩落防止工事が12カ所で進んでいるが、事業費は1カ所だけでも数億円規模。現在、工事を検討している地域は10カ所ほどあり、順番待ちが続いているのが現状だという。

 上藤松2丁目町内会長の寺岡賢治さん(72)は「宅地の開発許可を出したのは行政。早めの避難を呼び掛けるだけでは住民の不安は拭えない」と話している。

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ