参院の役割 二院制の存在意義を問う

西日本新聞 オピニオン面

 参院の歴史は、自ら存在意義を模索する「改革の歩み」と言っても過言ではあるまい。模索とは「衆院との違いは何か」を問うことであり、二院制の意義を考えることでもある。

 さまざまな国政の重要な課題とともに、参院選でこそ参院の在り方を問い直したい。

 二院制の長所とは何だろう。一院制に比べれば当然、議員選挙で有権者が投票する機会は増える。より多くの、そして多様な民意を国会に反映することが可能だ。4年の任期中に解散があり得る衆院と違い、参院は任期が6年と長く、解散もない。

 この特性は、政策の継続性や安定性につながる。同時に、衆院の行き過ぎを抑制したり、反対に足らない部分を補完したりする機能も発揮できる。

 参院が「良識の府」「再考の府」「熟議の府」と期待されるゆえんだ。衆院と参院の均衡と抑制を通じて立法府の健全な役割を果たす。それが二院制本来の姿と言えよう。

 問題は、現実の国会や政治がそうなっていないことだ。

 一つは「参院の政党化」である。かつて参院には無所属議員の会派「緑風会」など政党とは一線を画す政治集団があった。今は政党化が進み、参院独自の会派や勢力は影を潜めてしまった。政党が幅を利かせれば、衆院との違いは見えにくい。衆院の議決を追認する「カーボンコピー」と揶揄(やゆ)され、廃止論さえ唱えられる理由でもある。

 他方、「強過ぎる参院」が問題になることもある。衆参で第1党が異なる「ねじれ国会」になった場合の「決められない政治」だ。憲法は、予算や条約、首相の指名などについて衆院の優越を認めているが、そのほかは原則として対等である。

 このため、例えば2008年には日銀総裁の人事案が参院で否決され、中央銀行トップが一時不在となってしまった。

 無論、参院が改革の努力を怠ってきたわけではない。正副議長の党籍離脱をはじめ、決算重視や行政監視機能の強化、党議拘束を見直す提言など独自色を発揮する方策を探ってきた。

 それでも改革は道半ばだ。いや、むしろ混迷の度を深めているとさえ言える。

 3年ごとに定数の半数を改選する参院選は今回、定数3増で実施されている。「1票の格差」是正を理由に定数を六つ増やしたからだ。国会の「身を切る改革」に逆行する定数増は、参院独自の抜本的な選挙制度改革を怠ってきた付けでもある。

 参院とは何か。有権者としても、参院選をこのテーマに向き合う契機としたい。

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