写真をもとに詩を作る まなざし 言葉 響き合う ワークショップ 詩人・龍秀美さんを講師に 

西日本新聞 こども面

お気に入りの写真を映写して見せ合った 拡大

お気に入りの写真を映写して見せ合った

井上記者(左)に語りかける龍さん 詩を作るアドバイスをする龍秀美さん

 インスタグラム(写真共有アプリ)などを使って写真で自分を表現する人が増えています。自分で撮影した写真をもとに作った詩を発表するワークショップが、西日本新聞社(福岡市中央区)で開かれました。講師はもの知りこどもタイムズ面掲載の「詩の芽」の評を担当する詩人・龍秀美さん。こども記者ら7人が参加し、ペットや旅行先の風景などお気に入りの写真を見せて詩を朗読したり、感想を言い合ったりしました。こどもたちのまなざしと言葉が響き合う詩を写真付きで紹介します。

【紙面PDF】写真をもとに詩を作る

 ●仲よしのねこ 井上 珠喜
黒と白で
ふさふさで
目が緑の
私の大好きなお友だちのねこ
でもふしぎに思うときも
どこを見ているの
何を思っているの

 ●たくさんの色でできた緑 小野 絢菜
揺れる水面に映る 光と森
石垣に生える苔
全てが神秘的で
吸いこまれてしまいそう
まるで何もかもを
見透かしているような
その彩に

 ●ハンバーグ 平川 千野
お母さんのハンバーグ
大きくて、少しこげていて
たっぷりチーズ入り
でも今日のハンバーグは
帰りがおそくなるお母さんが
お店で買ってきたもの
さみしい味がしたよ
次は一緒に作ろうね
チーズ入れるところ教えてよ

 ●朝日は前の私を次の私にする 樋口 莉香
雲はいつのまにか過ぎ去り
朝日がのぼってくる
雲がなくなったように
一日のスタートをきる
まるで昨日のことが
うそだったように
気持ちをきりかえていく

 ●ランドセル姉妹 大場 瑠久
妹、ピカピカ一年生
ランドセルが大きくてかわいいな黄色いぼうし、黄色いカバー
まるでヒヨコみたい
私、ドキドキ五年生
ランドセルが小さく見えてきた
今日も小さな手をにぎり
元気いっぱい、いってきます

 ●きつね 佐々木 馨子
本当は きつねも性格 色々
賢いの 優しいの
気が弱いのから 気が強いのまで
だけど
お話の中では悪役
かわいそう
本当は こんなに
澄んだ目をしているのに

 ●いつもいっしょ 平川 煌野
大好きなお人形
名前は「たろう」
わたしが小さい時からの友だち
いっしょにねたり
あそんだりする
ずっといっしょ
たろうは
大じな友だち

 ●参加者
井上珠喜(福岡市・金武小5年)
大場瑠久(福岡市・東若久小5年)
小野絢菜(福岡市・次郎丸中1年)
佐々木馨子(福岡市・東若久小5年)
樋口莉香(福岡市・多々良小6年)
平川千野(福岡県大牟田市・羽山台小5年)
平川煌野(福岡県大牟田市・羽山台小3年)
              =敬称略
 

■写真だから見えるもの 総評 龍 秀美

 今回のワークショップではいろいろと面白い発見がありました。

 写真に撮って初めて分かったことでできた詩が多いこと。たとえば井上さんの猫の写真はこの表情が撮れたからこの詩ができたのでしょう。大場さんは妹と自分のランドセルを並べて撮ることで5年間という時間が見えてきたと言います。

 一方、ふつうのハンバーグに見える平川さんの写真は、詩があって初めて意図が分かります。妹の煌野さんは本当の「たろう」を見てもらいたくて連れてきました。佐々木さんの「きつね」の目の輝きも実際に本物を見たから生まれた詩です。夜の写真から朝日を想像した樋口さんの詩は「朝日は前の私を次の私にする」というタイトルが優れています。小野さんは、まるで新緑の目からこちらが見られているような感覚を描きました。

 書く時は「見る」ということが大事ですが、現実ではその時々の気分や周りの状況なども含まれ、自分の身体を通ってきた独特の言葉になります。一方、写真だけだと見方や考え方によってどのようにでも変化させることができ、それに「言葉」という意識を変える道具を組み合わせると自由自在で大きな力を持つことができます。

 今、インスタグラムなどで写真は周りにあふれています。これからは自分が発信することも増えてくるでしょう。目の前の画像だけにとらわれずに、日頃から気を付けて自分の考えを表す力を付けたいですね。

 ▼りゅう・ひでみ 詩人。第50回H氏賞受賞。「TAIWAN」「父音」などの詩集があり、創作と評者としての活動で2017年に福岡県地域文化功労者に選ばれた。

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