続発する災害 危機感持ち対策法再編を

西日本新聞 オピニオン面

 今回の参院選では、各党の立候補者が防災対策を公約として訴える場面が目立つ。自然災害がもはや日常化していることの裏返しである。

 被災地に足を運び、現場を踏まえた実効性のある政策を唱えているか。どれほど危機感を持っているか。有権者はそうした視点で訴えを吟味したい。

 この1年間はとりわけ大規模な災害が続いた。昨年は6月の大阪府北部地震をはじめ、西日本豪雨、北海道地震と続き、「災害級」とされた猛暑にも見舞われた。台風も相次いだ。

 今年1月には熊本県和水(なごみ)町で最大震度6弱を、6月には新潟県で同6強をそれぞれ観測する地震が起きた。

 戦後を振り返ると、高度経済成長期は大災害が比較的少ない「災害の平穏期」と重なったとされる。その間、高速道路や新幹線、高層建築など社会資本が整備されてきた。平成に入って状況は一変し、「災害の活性期」を迎える。その象徴は阪神大震災(1995年)である。高速道などが崩落した光景は国民の意識を大きく変えた。

 災害に関する法令は、それまで場当たり的に整備されてきた。多くは災害の予防に比重が置かれ、個人の生活再建や被災地復興に関する問題意識は希薄だった。予知や予測など技術の進歩で、いずれ災害は克服できると考えられていたからだ。

 阪神大震災で被災した人々の悲痛な叫びから、個人補償を認める被災者生活再建支援法が議員立法で生まれた。

 東日本大震災(2011年)後には復興庁や復興特別税が設けられ、被災地の再生は国民的な課題となった。「防災」と「復興」は今や車の両輪である。

 1961年にできた災害対策基本法は、戦後の災害で乱立した法律を一本化することが主眼だった。それでも今、災害に関する法律は主なものだけで100を超える。検証を重ね、必要に応じて分かりやすく再編し、機動力を持った体制に整え直す時期に来ていると言えよう。

 近い将来、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生が予想される。地球温暖化で頻発が懸念される豪雨や火山噴火に関わる対策強化も喫緊の課題だ。

 参院選公約で各党は「被災地の創造的復興」「被災者の税負担減免」などを掲げている。具体策で競い合うとともに、超党派で取り組むべき政策論議も深めてほしい。

 政府や国会の根本的な使命は国民の命や財産を守ることである。とりわけ任期6年の参院議員は、大局的な観点で法の整理や整備に取り組むべきである。

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