暮らし どう影響 参院選 筑豊地区の有権者は

西日本新聞 筑豊版

朝から次々と人が訪れる直方年金事務所。標語の「ささえ愛未来につなぐ基礎年金」が掲げられている 拡大

朝から次々と人が訪れる直方年金事務所。標語の「ささえ愛未来につなぐ基礎年金」が掲げられている

スマートフォンを使った電子決済。バーコードだけでなくQRコード(2次元コード)も使える

 21日に投開票される参院選は、年金問題や消費税増税が争点となっている。有権者は、今とこれからの暮らしをどのように考えているのか。筑豊各地を歩き、聞いた。

■月数万円、生活苦しく 年金

 筑豊地区を管轄する直方年金事務所(直方市)の窓口は混み合っていた。嘉麻市の無職男性(67)は病院の診察前に寄ったという。糖尿病や肝硬変を患う。

 長年トラック運転手として働いたが、「病気で握力がなくなった。ハンドルが握れないから辞めた」。独身。月数万円の年金は、家賃や水道光熱費を払うと、1万円ちょっとしか残らない。傷病手当金もあるが、8月で切れる。蓄えはほぼゼロ。生活は苦しい。「老後資金2千万円? 私には無縁の話」。男性は苦笑した。生活保護を検討しており、事務所に相談するという。

 無職の高齢夫婦世帯は月平均5万円の赤字、30年で2千万円が不足する‐。金融庁の審議会の報告書に端を発する老後資産の問題が波紋を広げている。

 「年金生活者になって、現役の時は気にもしなかった不安がある」。飯塚市の女性(65)は夫(65)、介護職の次男(30)と3人暮らし。年金は夫婦で月約15万円。介護保険や国民健康保険の保険料は月5万円以上。家計に余裕はなく、スーパーでは食材選びに悩む。「老後に2千万円必要と言われても戸惑う。退職金があってもローン返済で残らない」。ゆとりある老後生活はなかなか描けない。

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 「高齢者の職探しは、元気だから外に出て仕事をしたいという理由と、年金が少なく生活のためという理由が半々。70歳以上の求職者も珍しくない」。ハローワーク飯塚(飯塚市)の四郎丸治・統括職業指導官はこう話す。弁当配達、病院の調理補助、洗車作業…。掲示板には、高齢者が応募可能な求人情報が張り出されていた。

 福岡労働局によると、筑豊の5月の有効求職者数は前年同月比3・5%減。しかし、55歳以上では3・3%増。近年は高齢の求職者が増えている。2年前に定年退職し、年金は15万円ほどという飯塚市の男性は「夫婦2人の生活に不自由はないが、自由に使えるお金もほしい。元気なうちは働いて足しにしたい」と職探しの理由を語った。

■「国の施策 仕方ない」 消費税増税

 卵10個128円、ジュース78円‐。飯塚市の主婦(40)の1日は、スマートフォンで“お得情報”を確認することから始まる。無料通信アプリLINE(ライン)でチラシや飲食店の割引クーポン券が届く。

 今月上旬、市内のドラッグストア。食用油やミルクティー、鶏がらスープを買い物かごに入れ、スマホのバーコード画面をレジにかざす。「ピッ」。電子決済で1298円を払った。

 カードと合わせ、月約10万円を使う。200円ごとに1ポイントが加算される。たまったポイントは加盟店で、1ポイント=1円として使える。代金の2割がポイントで還元されるサービスなどもあり、数千ポイントが常にたまっている。夫と子ども2人の4人暮らし。ある日は、ファストフード店で家族分の食事代約2千円をポイントで払った。

 8年前にマイホームを購入し、月約7万円のローンが20年以上残る。日用品は安売りの日にまとめ買い。「節約につながれば」と、3カ月ほど前、電子決済を始めた。

 政府は10月からの消費税増税に関連し、現金以外の支払いに、代金の最大5%分のポイントを還元する。「増税は、子育てや老後を考えると、仕方ない」。電子決済を使い、増税分をポイント還元で補うつもりだ。

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 通常のたばこより一回り小さいたばこが並ぶ。飯塚市飯塚の市橋たばこ店。「安いたばこがほしい」。常連客の頼みで、店主の大塚哲栄さん(76)が置いている。外国産で、国産の主要銘柄より約200円安い。

 店で扱っているたばこは数十種類。売り上げは年々、落ちている。3年前から昼間の営業をやめ、早朝と夜だけ店を開ける。

 健康意識の高まりや度重なるたばこの値上げ。売り上げ減はさまざまな理由があるだろう。

 繁華街で戦前から続く老舗。椅子に座り、夜の街を見てきた。「お客さんのためにも4、5年は頑張るつもりだけど、その先は望めないかな。増税は国の施策なのでどうすることもできない」。人通りの少ない夜の街を眺めながら、つぶやいた。

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