日米安保語らぬ主張 トランプ氏は「不公平」発言

西日本新聞 総合面

 参院選は終盤戦だが、安全保障政策を巡る論戦は低調だ。トランプ米大統領は日米安保を「不公平だ」として安倍晋三首相に見直しを要求。有権者の関心も高いテーマだが、候補者や政党幹部から日米安保の将来像について語られる機会は少なく、議論も深まらないままだ。

 トランプ氏の発言が飛び出したのは、6月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)後の記者会見。米記者の問い掛けに「不公平な合意だ」と言い切った。 自民党は公約の冒頭で「世界の真ん中で力強い日本外交」を掲げ、日米同盟をさらに強化する方針を示す。

 だが、首相は街頭演説では「同盟国の米国は、日本がもし攻められたら日本を守るために戦ってくれる唯一の国だ」などと訴え、トランプ氏との緊密な関係をアピールするだけだ。

 立憲民主党は公約で「在日米軍基地問題については、地元の基地負担軽減を進め、日米地位協定の改定を提起する」、国民民主党も「日米地位協定の諸外国並みの改定を目指す」などとうたうが、街頭で触れることは少ない。

 日米安保条約は発効から70年近くたち、その役割も変質している。1960年の改定で米国の対日防衛義務を定める一方、日本と極東の安全のため、日本に施設などを米側に提供する義務を課したが、米軍は活動範囲をアジアから中東へと拡大。日本も安全保障関連法を2016年に施行し、米軍支援を広げてきた。

 トランプ氏は在日米軍駐留経費の日本側負担について増額を求め、米国製の防衛装備品の購入も迫る。

 だが、日本側の駐留経費負担率は04年の国防総省の報告書で74・5%と他国に比べても突出して高く、19年度予算案で1987億円に上る。

 トランプ氏は「世界の警察官を続けることはできない」と言及し、在外米軍の規模縮小や駐留先の国の経費負担増を目指す考えも示すが、今後の日米安保体制についての議論は参院選でほとんど聞かれない。

 NPO法人ピースデポ特別顧問の梅林宏道氏は「本来、日米安保条約は日本と極東を守るのが目的。トランプ氏の発言を受けて現状を正当化するのではなく、選挙で改めて日米安保の在り方を考える議論が必要だ」と述べた。

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