ウイグル問題 書簡の攻防 60ヵ国国連人権理に提出

西日本新聞 国際面

 【北京・川原田健雄】中国政府の新疆ウイグル自治区での少数民族政策を巡り、約60カ国が賛否の立場に分かれて国連人権理事会に書簡を提出する事態となっている。日英など22カ国がウイグル族の大量拘束に懸念を示す共同書簡を出したのに対し、ロシアなど37カ国は中国政府を支持。中国側は支持が多いことから政策の正当性を強調するが、北朝鮮やシリアなど支持国自体の人権侵害を指摘する声も出ている。

 懸念の共同書簡を出したのは日英のほか、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリアなど。同自治区ではテロ対策名目でウイグル族ら100万人超が収容施設で思想教育を受けているとされ、共同書簡は中国政府に大量拘束をやめて、国連の専門家の立ち入りを認めるよう求めた。

 日本も野上浩太郎官房副長官が11日の記者会見で「国際社会の普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国でも保障されることが重要だ。ウイグルの人権状況を関心を持って注視をしている」と述べた。外務省によると、こうした共同書簡は「把握している限り初めて」という。

 これに対抗するようにロシアや北朝鮮、シリア、キューバ、ベネズエラ、ミャンマーなど37カ国は12日、国連人権理事会のあるスイス・ジュネーブ駐在大使の連名で中国支持の書簡を提出。中国メディアによると、書簡はウイグル族の収容施設を「基本的人権が保障されている」と評価した上で、中国への「根拠のない中傷」をやめるよう呼び掛けた。

 中国外務省は22カ国による懸念の書簡に「強烈な不満」を表明する一方、37カ国の書簡を「中国への非難に対する力強い反論だ」と歓迎。共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「37カ国の総人口は22カ国の3倍だ。(支持の書簡は)世界の幅広い地域を代表したものだ」と強調した。

 37カ国は中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」への参加国が多い。特にロシアや北朝鮮、ミャンマー、シリア、ベネズエラなどは自国の人権問題を巡って国際社会から非難を受けている。親族が再教育施設に収容されているウイグル族の男性は「中国が経済力を背景に支持の書簡を出すよう働き掛けたのではないか。国際社会は抑圧政策をやめるよう中国に圧力をかけ続けてほしい」と訴えた。

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