金鷲旗・玉竜旗 令和の幕開け飾る熱戦を

西日本新聞 オピニオン面

 団体戦抜き勝負で日本一を争う金鷲旗・玉竜旗高校柔剣道大会があす、福岡市で開幕する。

 大会は1916(大正5)年、「九州学生武道大会」として始まった。昭和、平成と着実に歴史を重ね、今回は令和になって初の開催となる。

 第1回は柔剣道合わせて福岡県の27チームが参加した地方大会だった。90回を超えた今大会には、柔道の金鷲旗に482、剣道の玉竜旗に904の計1386チームがエントリーした。台湾や米国・ハワイからも参加する。国内屈指の高校柔剣道大会としてすっかり定着した。

 約1世紀にわたり、柔道の五輪代表をはじめ、幾多の柔剣道の名選手がこの大会から世界に羽ばたいた。出場選手は、大会の歴史を胸に刻み、日頃の鍛錬で培った力を大舞台で存分に発揮してほしい。

 かつて「武道の王国」とたたえられた九州だが、平成以降、柔道男子で九州勢が金鷲旗を手にしたのは99年大会の東海大二(熊本)だけである。この30年間、関東勢が圧倒的な強さを誇示してきた。

 今大会は、春の全国選手権を制して勢いに乗って福岡入りする昨年の覇者、国士舘(東京)に、昨年3位の大牟田(福岡)などが挑む。20年ぶりに大旗が関門海峡を渡って九州に戻ることを、地元のファンは心待ちにしているに違いない。

 柔道女子は一昨年、昨年と連覇を果たした南筑(福岡)から絶対的エースが卒業したこともあり、混戦が予想される。多くのチームに頂点に立つチャンスがある。勝利への執念と一瞬の集中力が明暗を分けそうだ。

 剣道男子は、2年ぶりの優勝を目指す九州学院(熊本)を筆頭に、九州勢の戦力の充実ぶりが目立つ。10年連続の九州勢優勝が視野に入る。

 剣道女子では、中村学園女子(福岡)が史上2校目の4連覇を目指す。実現すれば、福岡県勢の10連覇となる。ただし、今年は九州外の強豪にも勢いがある。互いに一歩も譲らぬ激戦の連続となるに違いない。

 東京五輪・パラリンピックの開催は来年に迫る。日本オリンピック委員会(JOC)の会長に就任した熊本県出身の柔道家、山下泰裕氏もかつて金鷲旗で活躍した。メダル10個を獲得し、「柔道王国・日本」の復活を世界に印象づけた92年のバルセロナ五輪の直前に、本紙取材にこう語っている。

 「心の強さが大事です。ただもう、死に物狂いでぶつかる闘志がないと駄目です」。勝負に挑むすべての若者に向けたメッセージである。新たな時代の幕開けにふさわしい、気迫あふれる熱戦を期待したい。

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