山下氏手堅く再選 犬塚氏は出遅れ響く

西日本新聞 佐賀版

 参院選は21日投開票され、与野党の一騎打ちとなった佐賀選挙区では、自民現職の山下雄平氏(39)が国民民主元職の犬塚直史氏(64)を破って再選を果たし、自民が非改選を含む参院の県内2議席独占を守った。野党統一候補だった犬塚氏は、国民による擁立が公示約1カ月前の6月上旬と出遅れたこともあり、山下氏に及ばなかった。投票率は45・25%。

 選挙戦は終始、山下氏がリードした。昨年7月に党公認を得た山下氏は、公示までに推薦を取り付けた県内650の企業団体に支援を呼び掛ける徹底した組織戦を展開。自民県連も公明と選挙協力協定を結び、山下氏が各地で開く決起大会では公明の比例候補との相互支援を訴えるなど与党として盤石な態勢を築き上げた。

 公示後は、1期目の任期に内閣政務官を務めた実績などをアピール。自民の重要な支持基盤の農業票を取り込むため、今後5年間の農政の基本となる新たな「食料・農業・農村基本計画」に県内の多くを占める小規模農家への支援を盛り込むと強調。政権や自民の農政に不満を抱く農家に理解を求めた。

 ただ、再選はしたものの、自民候補としては民主候補(当時)に敗れた2007年の参院選以来、20万票を割り込んだ。県内最大の集票力を誇るJAグループ佐賀の政治団体「県農政協議会」から推薦を得たが、15年の知事選で対立したことが尾を引いており、「上滑りした面は否めなかった」(自民県連関係者)。

 一方、野党は立候補を表明した国民の犬塚氏に候補一本化し、社民、共産の県組織も支援した。

 犬塚氏は県が絡む国政課題の陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港配備計画反対を訴え、九州新幹線西九州(長崎)ルートの整備を急ぐ与党を批判した。選挙戦の最終盤には、JR佐賀駅前で立憲民主なども含めた5野党・会派の幹部が一堂に会して安倍政権の打倒を訴え、犬塚氏への支持を求めた。

 しかし、知名度不足を挽回するには時間が十分とはいえず、保守の地盤を崩すことはできなかった。

■「地方へ人の流れを」山下氏

 「東京一極集中ではなく、都会から地方への流れをつくる。必ずこの6年間で方向付けをしていく」。自民現職の山下雄平氏は投票終了直後に再選確実が報じられると、佐賀市八幡小路の事務所で支持者に深々と頭を下げて喜びつつ、表情を引き締めた。

 選挙戦で山下氏は、若者が東京をはじめとした大都市圏に流れ、人口過密で子育てがしにくくなっている一方、佐賀のような地方では人口減少が続いていると指摘。地方に移転する企業への優遇税制や転職者の援助に取り組んでいると強調し、「都会に出た人が、地元に戻ろうと思える環境をつくる」と訴え続けた。

 一方、国政の争点となった消費税増税や憲法改正にはほとんど触れず、論戦が期待された九州新幹線西九州(長崎)ルートの整備問題にも言及はなかった。陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港配備計画については選挙戦の中盤以降に触れるようになり、「防衛にとっては不可欠。不安解消に努めたい」と理解を求めた。

 山下氏はあいさつで「国政に送り出して良かったと思われるように、さらに全身全霊をもって活動していきたい」と述べた。

■「全て私の力不足」犬塚氏

 「全て私の力不足。申し訳ない」。落選した国民民主元職の犬塚直史氏は、佐賀市の事務所で支持者に頭を下げた。

 東京都出身で、立候補表明は公示の約1カ月前。知名度不足を挽回するため、国民県連代表の原口一博衆院議員と無所属で立憲民主会派の大串博志衆院議員の後押しを受け、街頭演説や総決起大会を重ねた。オスプレイの佐賀空港配備反対を訴え、年金問題で政権批判し、自民現職との対立軸を鮮明にしようとしたが、出遅れが響いて無党派層を十分に取り込めなかった。

 野党統一候補として戦った犬塚氏は「野党の結集ぶりは最高だったが、形ができたばかり。もっと動きを加速させないと政権交代は起こらない」と強調。敗因について「時間(不足)の問題ではなく、政策を分かりやすく訴える候補者としての実力が足りなかった」と述べた。

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