消去法の「安定」選択 有権者、疑念追及より暮らし

西日本新聞 社会面

どの候補、どの政党に国の進路を託したか。1票1票に有権者の思いが宿る=21日夜、佐賀県唐津市 拡大

どの候補、どの政党に国の進路を託したか。1票1票に有権者の思いが宿る=21日夜、佐賀県唐津市

 変化は望まず「安定」を選択‐。参院選で自民党に投票した有権者の本音を探ると、「安倍勝利」の実相が浮かび上がる。6年半の長期政権下で相次ぐ不祥事に疑念を募らせても、今の暮らしは維持したい。加えて、野党の脆弱(ぜいじゃく)さも「消去法で自民」を後押しする。「安倍1強」を支える民意は決して積極支持とは言い切れない。

 「バブルがはじけて以降、常に不安定な時代を過ごしてきた自分ら世代にしたら、今の安定を望むのは当然でしょ」

 就職氷河期を経験した熊本市南区の男性会社員(39)は自民候補に投票した。子ども3人と妻の5人暮らし。住宅ローンや教育費など家計は毎月ぎりぎり。賃金はほぼ横ばいで、アベノミクス効果は実感しにくい。ただ、ぜいたくしなければ暮らしていける。苦労して得た仕事や、暮らしを守るために安定志向は強い。

 論点となった老後資金不足問題については「年金だけで生きていけるなんて、はなから思っていない」。その上で「政権や国の制度が大きく変わることで暮らしが悪くなるぐらいなら、良くならなくても今のまま何も変わらない方がいい。政治に頼るのは限界があり、結局は自己責任で物事を進めていくしかない」と冷静に語った。

 北九州市小倉南区の大学3年の女性(20)は考え抜いて自民に投じた。「自民中心の政権が安心できるから」という。高校まで政治は遠い世界。大学で自民の国会議員事務所でインターンシップに挑戦し、地域の陳情や祭りに同行して政治への関心が深まった。

 閣僚の失言や森友、加計(かけ)学園問題などの不祥事には疑問を抱いた。公務員の両親は野党を支持し、出生率低下の責任を自民に問うている。ただそうした課題の解決も「政治の安定があってこそ」。経済施策も、競争力の高い企業が引っ張って国を豊かにし、国民にも恩恵が届くという考えの自民に最も共感している。

 「消去法で自民しかない」。福岡市西区のテナントビル経営の男性(68)は言い切る。過去の大半の国政選挙と同様、今回も自民に投票した。顔触れの変わらない離合集散を繰り返す野党に、政策の実現性は感じられないからだ。

 与野党問わず地方議員や首長とのつながりもある。「地方から国政まで自民が力を持っている。その状態が良いかどうかは分からないが、生活を任せられる政党は現状では他にない」

 一方、佐賀市の自営業の女性(50)は白票を投じた。前回参院選は自民に投票したが年金制度などに疑念を抱いた。「票集めの施策ばかりで今の政治家には期待が持てない。国は助けてくれないから自分の身は自分で守るしかないのか。もっと国民に寄り添った政治を」と自民にくぎを刺した。

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