“打倒1強”共闘に亀裂 野党、九州の1人区1議席のみ 衆院選へ危機感

西日本新聞 社会面

 参院選は、全国32の改選1人区で野党が候補者を一本化して挑んだが、勝ったのは大分など10選挙区にとどまった。改憲勢力が参院全議席の3分の2を占めるのを阻止し、一定の成果はあった。だが、共闘の裏側では各党間の忌避感が渦巻き、戦略の限界も露呈。年内解散・総選挙も取り沙汰される中、野党関係者は「このままでいいのか」と危機感を募らせる。

 熊本では自民に対抗するため、連合の仲介で野党各党が無所属候補を推薦する「熊本方式」が定着していた。だが統一候補の阿部広美氏(52)が、今春の統一地方選で共産候補を応援したことが原因で、立憲民主と国民民主が推薦を見送り。「亀裂」を埋めようと公示約1カ月前、3年前に共闘を主導した県議が地域政党を立ち上げたが「足並みをそろえるには間に合わなかった」。阿部氏は、自民現職に大差で敗れた。

 立民県連代表の矢上雅義衆院議員は「熊本では原発や基地問題のような明確な争点がない。無所属で戦うには限界がある」と話し、戦略そのものへの疑問も口にした。

 九州で唯一、自民現職を破った大分選挙区の野党統一候補の安達澄氏(49)も幅広い支持を得るため、無所属の「看板」を掲げたが、選挙戦では「共産隠し」を徹底した。

 昨年10月の立候補表明時、立民、国民、社民各党幹部は「共産を含む野党共闘を目指す」と明言していたが、共産と距離を置く国民や連合が協議を拒み、各党が独自で支援することになった。安達氏の出陣式などに共産県議の姿はなく、開票日の21日夜も、共産県委員会幹部が開票速報を見守ったのは安達氏の事務所ではなく、党事務所だった。

 陣営関係者は「共産色を消したことで幅広く支持を広げられた」と衆院選に向けて手応えを語った。一方、蚊帳の外に置かれた共産県委員会幹部は「腹に一物抱えている党支持者は多い。打倒“安倍1強”のため、共闘にもいろんな形があると言い聞かせるしかなかった」と不満を募らせる。

 長崎選挙区で落選した国民新人の白川鮎美氏(39)の総決起集会では国民、立民、社民と並び、初めて正式に共産が紹介された。共産県委員会トップは各党支持者に向かってにこやかに一礼。「握手すらさせてもらえなかった」前回とは雰囲気が一変していた。

 だが、白川氏は自民現職に3万4千票差をつけられた。共闘が実現しても政権の対抗勢力にはなり得ていない現実がある。

 国民県連の渡辺敏勝幹事長は「無党派層への働き掛けが不十分で、得票が伸びなかった」と分析。衆院戦に向けて「今回、票を得た地域で引き続き支持を広げていきたい」と語った。

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