認知症届け出初決断「事故起こしてからでは遅い」 北九州市のサポート医

西日本新聞 社会面

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権頭聖さん

 北九州市八幡西区で開業する認知症サポート医、権頭聖さん(58)は6月、福岡県内に住む認知症男性の診断結果を同県公安委員会に届け出た。自身としては初めてのこと。男性は運転免許の自主返納を拒んでおり、悩んだ末の決断だった。権頭さんは「取り消しや返納で事故の恐れは減る。恩恵を受ける地域社会は、高齢者がその地で暮らし続けるためのシステム構築を急ぐべきだ」と話す。

 男性は6月初旬、車で近所に外出するつもりが、約50キロ離れた場所に行ってしまいパニックになっているところを地元住民が発見。連絡を受けた家族が数時間後に迎えに行った。

 以前に男性を認知症と診断した権頭さんは家族から相談を受け、男性も交えて話し合ったが、男性は「病院など近所の決まった場所に行くときしか乗らないので問題ない」と主張。免許返納時のサポートも議論したが、男性は家族と離れて暮らしている事情もあり、具体的な支援方法は決まらなかった。

 話し合いを終え、数日悩んだ権頭さん。認知症は本人の自覚なしに認知機能の衰えが進むこともあり、「重大な事故を起こしてからでは遅い」と届け出た。

 県警折尾署は届け出制度の周知も図るため、権頭さんに感謝状を贈呈。県公安委員会は現在、免許取り消しについて検討中だ。

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