移住者の店「町ごとリノベ」 長崎・東彼杵町千綿地区 3年で続々13軒、誘致組織も

西日本新聞 夕刊

米倉庫を改築した「Sorrisoriso」の店内。仕掛け人の森一峻さんは「ここを拠点に移住者の支援や情報発信をしたい」と話す=長崎県東彼杵町 拡大

米倉庫を改築した「Sorrisoriso」の店内。仕掛け人の森一峻さんは「ここを拠点に移住者の支援や情報発信をしたい」と話す=長崎県東彼杵町

千綿駅の木造駅舎をリノベーションしたカフェ「千綿食堂」。レトロな雰囲気と海沿いを走る列車を眺めることができる景色が人気だ=長崎県東彼杵町 オープン間近のゲストハウス。斉藤仁さんと妻晶子さんは海が見える窓の景色が気に入った=長崎県東彼杵町 古民家を改築したパン店「ちわたや」=長崎県東彼杵町 長崎・東彼杵町の「Sorriso riso」

 長崎県東彼杵町千綿地区で古民家や空き店舗をリノベーション(大規模改修)したカフェやレストランが次々とオープンしている。この3年余りで13軒を数え、さらに増えそうな勢いだ。多くは町外からの移住者が経営しており、地域の資産を「外」からの視点で活用したまちづくりが進んでいる。

 仕掛け人は一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」代表理事の森一峻(かずたか)さん(34)。高校卒業後、会社員を経て実家が千綿地区で経営するコンビニを継いだ。

 人口減少が進む地域では売り上げが伸びず、一時はコンビニ本部から契約打ち切りも通告された。思い付いたのが「コンビニとは正反対のマーケット開拓」だった。

 使われなくなっていた農協の米倉庫を改築、2015年12月に集合型店舗「Sorriso riso(ソリッソ リッソ)」をオープン。内部はテナントが入る部屋が二つあり、築60年以上になるレトロな雰囲気が人気を集めた。

 ここでカフェや雑貨店を開いた移住者が森さんの紹介で千綿地区の古民家や駅舎、倉庫を活用し独立。17年には町への移住希望者をサポートする公社を立ち上げ、リノベーション店舗は次第に増えた。

 自家製酵母パン店「ちわたや」もその一つ。店主の前野高宏さん(36)、麻琴さん(36)夫妻は東日本大震災をきっかけに千葉市から熊本県南阿蘇村に移住したが、16年の熊本地震で住宅兼店舗が半壊した。

 「自然豊か」「支援が手厚い」。口コミで評判を聞いた東彼杵町を訪れ「地域で移住者を受け入れる雰囲気に感激してここに決めた」(高宏さん)。

 店舗となった古民家は森さんが仲介。移住者は森さんを中心にフェイスブックや無料通信アプリLINE(ライン)などの会員制交流サイト(SNS)でつながり、しっくいを使った店舗の壁塗りには先輩の移住者も協力した。

 大村湾沿いでは、東京から移住を決めた斉藤仁さん(53)が元旅館をリノベーションしたゲストハウスの開業準備を進めている。長崎とは縁もゆかりもないが、県が移住希望者向けに貸し出すキャンピングカーで県内を巡り「海が見える景色が気に入った」という。町内唯一となる宿泊施設は今月末、オープン予定だ。

 森さんによると、店舗経営をきっかけにした移住者は家族も含めて約50人。関東など県外からが半数を占める。森さんは「人口を増やすのが目的ではない。同じような価値観を持つ人が集まり、地域全体をリノベーションするようなまちづくりを進めたい」と話す。

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