不買運動、韓国人の胸の内 日本のビール「今は我慢」

西日本新聞 社会面

 日本政府が韓国向け半導体材料の輸出規制を強化したことへの反発から、韓国で日本製品の不買運動が広がっている。インターネット上では「ボイコットジャパン(日本の排斥を)」などの呼びかけが拡散。あるコンビニ大手では日本製ビールの売り上げが前月比40%減となったが、不買の動きを冷めた目で見る人も少なくない。和食店や日本製品を販売する店を取材し、韓国人の胸の内を探った。(ソウル池田郷)

 ソウル中心部のユニクロ光化門Dタワー店は23日、客がまばらだった。「(不買運動は)長くは続かないと思う」。日本の運営会社役員の発言が、韓国のネット上で怒りを買った。韓国で約180店を展開する現地法人の担当者も「不買運動の影響はあるが、数字は言えない」と言葉少なだ。

 ソウルから電車で約1時間の京畿道富川市の和食店へ。昼食時だったが、ここも客は少ない。李承男(イ・スンナム)社長(67)は「和食だから影響はある」。韓国人による不買運動が韓国人経営者を苦しめる構図も生じている。

 この店を訪ねたのは理由がある。店が入るビルの壁に、1909年に初代韓国統監の伊藤博文を暗殺し死刑になった安重根(アン・ジュングン)の大きな写真を掲げていたからだ。韓国では独立運動の英雄。日本の措置にさぞや反発しているだろうと想像した。

 意外にも写真を掲げたビル所有者で貿易業の李正栄(イ・ジョンヨン)さん(60)は冷静だった。「愛国心は強いが、反日感情とは違う。韓国の若い人たちに独立運動の歴史を知ってほしくて掲示した」。李さんは仕事を通じて日本に友人も多く「韓国政府に冷静な対応を望むが、景気の悪化は心配。一般の国民が不買運動をする心情も分かる」と話す。

 韓国最高裁が昨年10月、日本企業に元徴用工への賠償を命じて以降、日本では韓国政府の対応に不満が高まった。一方、韓国人はこの問題に日本より関心が低かったように映る。1965年の日韓請求権協定で「賠償問題は解決済み」とする日本の主張を、「知らない」と話す人も多い。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「韓国政府への重大な挑戦」などの発言も世論を刺激した。ただ、輸出規制に対し「真珠湾のような奇襲だ」と憤っていたソウルの男性会社員(28)は「日本製品は生活に浸透している。コンビニで買うのは気が引けるが、好きな日本酒はネットで買っている」と打ち明けた。

 ソウルの若者の街、弘大の和風居酒屋は先週末、全50席が埋まっていた。韓国は空前の和食ブーム。千知用(チョン・ジヨン)さん(24)ら女性3人組の卓上には、豚の串焼きなどが並ぶ。「日本人に悪い印象はないが、一部政治家が韓国人を怒らせている。本当は日本製ビールが大好きだけど、韓国人の怒りを伝えるために我慢する」。こう話した3人は韓国産のビールと焼酎で乾杯した。

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