人形師の弟子継承へ奮闘 本番迎える日田祇園祭 29歳池永さん

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 日田祇園祭の山鉾(やまぼこ)に飾る人形作りを一手に担う人形師長嶋静雄さん(63)=日田市隈=の下で、弟子で親戚でもある池永大洋(もとひろ)さん(29)が人形作りを勉強している。伝統の重みとそれを受け継ぐ大切さ、長嶋さんの思いを感じながら今年も祭り本番を迎える。 

 9基の山鉾には、歌舞伎や人形浄瑠璃から題材を取った等身大の人形が飾られる。長嶋さんは毎年、山鉾が巡行する各町の歴史などを踏まえて題材を考える。基礎の角材に麦わらを巻いて肉付けし、その上から新聞紙を貼って衣装を着せ、小道具を持たせる。構想から制作まで親類の協力も得ながら1年がかりだ。

 池永さんの祖父母が制作を手伝っていたが高齢で難しくなったため、3年前に池永さんがその役を代わった。「少しでも役に立てたらと思って来るようになった」が、続けるうちに周りから「後継ぎ」と言われるようになり、その意識が芽生えたという。

 池永さんは長嶋さんの作業を補助し、小道具の修理・制作、材料調達もする。長嶋さんの手によって、角材の人形は徐々に生命を吹き込まれていく。「人になっていくところが面白い」と池永さんは言う。だが山鉾に飾った姿を想像しながら衣装や小道具で躍動感を出すのは難しい。高いもので約10メートルの位置に飾られる人形を、下から見上げる人にかっこいいと思わせなければならない。設計図は長嶋さんの頭の中だけにある。長嶋さんから話を聞いたり、過去の写真を参考にしたりして動きを付ける。

 人形作りは5月に本格化。毎週末、長嶋さん宅を訪れて制作を手伝い、祭り1週間前には各山鉾への飾り付けに立ち会った。

 少子化の影響で後継者不足といわれ久しい。長嶋さんは祭りの将来に不安を抱いており、池永さんへの期待は大きいという。「良い加勢になっているよ。人形作りは慣れだから。もう数年したら腕の良しあしが分かってくるな」

 池永さんにとって、長嶋さんは「日田祇園祭を一番知っている人」だ。山鉾や人形、祭りの歴史や当日の巡行の流れ…。知識があるからこそ人形は作れると思う。弟子入り3年目。少しだが、長嶋さんが言うことの意味も分かってきた。「おじちゃん(長嶋さん)のような人形師になれるかどうか想像もつかない。でも祭りの成功に人形を通して貢献したい」と決意のこもった笑顔を見せた。

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