首相、家族に直接謝罪 ハンセン病「苦痛強いた」 原告以外も補償協議

西日本新聞 一面

 安倍晋三首相は24日、ハンセン病元患者家族の差別被害を認めた熊本地裁判決を受け、原告らと首相官邸で面会し「大切な人生において大変な苦痛と苦難を強いた。政府を代表しておわび申し上げる」と謝罪した。訴訟に参加しなかった家族も含めた補償に向けて「新たな立法措置を講じる」と言明。原告側は秋の臨時国会での法整備と、ハンセン病に対する社会の誤認や偏見を正す啓発活動の強化を要求。根本匠厚生労働相は同日、補償に向けた実務的な協議を今月中に始めることを明らかにした。

 安倍首相は面会で「ご労苦をこれ以上長引かせるわけにはいかない。責任を果たさなければならないと考えた」と控訴を見送った理由を説明。「差別、偏見の根絶に向け、政府一丸となって全力を尽くすことを約束する」と述べ、原告1人ずつと握手した。

 原告と弁護団の約40人が出席。原告団長の林力さん(94)=福岡市=は「私たちに光を与えてくれた」と控訴断念を評価し「いまだに身内に患者がいることを名乗れない人が多くいる。当事者である私たちの声を生かし、ハンセン病の誤った認識を正す啓発と教育に国が総力を挙げて取り組んでほしい」と訴えた。

 原告側は同日夕、厚労省で根本氏とも面会し、裁判で敗訴した20人を含め補償額を一律にした救済制度と、差別偏見の解消に向けた対策などを要望。面会後、根本氏は報道陣に「7月中に厚労省事務方と弁護団の協議を開始する。確定判決の賠償は速やかに支払い、新たな補償措置は精力的に詰めたい」と述べた。

 同日の超党派による「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」では、原告団が秋の臨時国会での法整備を要求。会長の森山裕・自民党国対委員長は「秋の国会で成立するよう努力したい」と応じた。

 訴訟では元患者家族561人が、国の誤った患者隔離政策で差別を受けたとして国に賠償と謝罪を要求。熊本地裁は541人について国に33万~143万円の支払いを命じた。身内の病歴を知った時期が隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決の翌年以降だった20人は請求を棄却された。

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