けじめの囃子82年ぶり 日田祇園祭、事故で「納め」演奏されず

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 日田市の伝統行事「日田祇園祭」(27、28日)を前に、山鉾を運行する町の一つ若宮町の山鉾(やまぼこ)前で、毎年祭りの終わりに演奏する祇園囃子(ばやし)「吹上観音」と「万歳」が響いた。82年前、運行中に死亡事故が起きたため演奏できなかった2曲。「令和」初めての祭りを迎える今年、山鉾に飾る人形の題材が当時と同じだったことから、当時の“けじめ”として奏でられた。

 日田祇園祭では毎年、歌舞伎や人形浄瑠璃を題材に制作された勇壮・優美な人形で彩られた8町の山鉾と、隈町の男衆が運行する平成山鉾が市内を巡る。人形の題材は毎年変わる。山鉾の巡行時は「道囃子」、小屋を出るときなどは「役物」と呼ばれる囃子を演奏する。役物のうち「吹上観音」や「万歳」は祭り終了後に山鉾が町内に戻ってきた時や、山鉾が小屋に納められた時の曲だ。

 若宮町山鉾振興会によると1937(昭和12)年、同町(当時は竹田本町)の巡行中、山鉾の下敷きになって男性が亡くなる事故が起きた。すぐに同町の祭りは中止され、小屋に山鉾を納める際の囃子も演奏されなかったという。

 今年の人形の題材は82年前と同じ「増補女鳴神(ぞうほおんななるかみ)」と決まった。事故当時を伝え聞いた人形師の長嶋静雄さん(63)が「新しい時代に入る前にけじめをつけたらどうか」と同振興会に提案し、当時は奏でられなかった「納め」の囃子を演奏することにした。

 人形の飾り付けを終えた21日、法被姿の男衆約30人が山鉾が納まる小屋前に集まった。日田祇園囃子保存会による演奏が始まると、男衆は目を閉じて優雅な音色に聞き入っていた。振興会の太郎良収明会長は「82年前の祭りを、ようやく終えることができた。新たな気持ちで令和初の祭りを迎えたい」と話した。 

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