「命に意味」価値観取り戻せ 相模原殺傷の被告と昨夏接見 「抱樸」の奥田理事長

西日本新聞 北九州版

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件は26日、発生から3年を迎えた。殺人罪などで起訴された植松聖被告に昨夏、勾留先で接見したホームレス支援のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」(北九州市)の奥田知志理事長が西日本新聞の取材に応じ、接見の内容を明らかにした。被告は障害者への憎悪を従来通り主張したが、奥田理事長は、それは「オリジナルの言葉」ではなく、生きる中で被告自身が聞かされ、重圧を感じていた「時代の言葉」と読み取った。

 被告は、礼儀正しく落ち着いた印象だった。「遠く九州から来ていただいて、申し訳ありません」。深々と頭を下げた。「きちんと育てられた青年」と思った。一方で障害者を「心失者(しんしつしゃ)」と呼び、命の価値に優劣をつけたがった。

 「役に立たない人は死ねと言いたいのか」。疑問を被告にぶつけた。すぐに「全くその通り」と返答があった。「それでは、あなたはどうだったのか」

 被告は一呼吸置いて答えたという。「あまり役に立たない人間でした」

 被告は、犯行前に衆議院議長公邸に持参した手紙で「金銭的支援5億円」などを求めた。犯行を予告し、「日本国、全人類の為(ため)」と強調してもいた。

 「人の役に立たなくてはいけない。人に迷惑をかけてはいけない」。生産性を求められるプレッシャーを自身も感じ、耳にしていた時代の価値観が障害者差別につながり、口をついて出たのではないか。「彼自身が『役に立つのか』と、問われる側の人間だった」。牧師でもある奥田理事長はこう指摘する。

 大変さを分かち合うものが社会というものではないのか-。その問い掛けに、被告から明確な回答を得ることはできなかった。

 接見から約1年が経過し、被告の心に変化はあったのか。それとも変わらないままなのか。

 「『意味のある命』や『意味のない命』があるのではない。『命に意味がある』という価値観を、この社会に取り戻さないといけない」。奥田理事長は訴える。

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