【TOKYO2020 地方からの挑戦】(3)大学 支える楽しみを学生に

西日本新聞 社会面

鹿屋体育大のスポーツパフォーマンス研究センター内にある、全長90メートルのレーンを紹介する前田センター長 拡大

鹿屋体育大のスポーツパフォーマンス研究センター内にある、全長90メートルのレーンを紹介する前田センター長

 世界最先端のスポーツ研究施設が本土南端の鹿児島県鹿屋市にある。鹿屋体育大のスポーツパフォーマンス研究センター(SPセンター)。3500平方メートルの広大な施設で特に目を引くのが、屋外まで伸びている陸上のトラックレーンだ。

 全長90メートルのうち50メートルの床下には「フォースプレート」と呼ばれる圧力盤が埋め込まれ、走者が地面を蹴ったときの力量が計測できる。「短距離走で大事な加速段階からトップスピードに乗った時の走りまで分析できる」と前田明センター長は胸を張る。桐生祥秀(日本生命)ら男子短距離陣を中心に五輪やパラリンピックを目指すアスリートが次々と鹿屋を訪れる。

 東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は全国806の大学と連携協定を結んでいる。知識や施設、人材など、大学が持つ資源で大会を支えてもらい、五輪に関わった経験を将来に生かしてもらうのが狙いだ。鹿屋体育大は学内に五輪・パラリンピックの戦略推進室を設置。SPセンターに海外の選手らを呼んで体験してもらったり、鹿児島県や鹿屋市と連携した合宿誘致をしたりと、学生が五輪に関わる場をつくるために積極的に仕掛ける。

 五輪やパラリンピックのボランティアに参加する学生に配慮し、8月の期末試験を前倒しする案も検討中。推進室の担当者は「全国唯一の国立4年制体育大として関わる意義を強く感じている」と力を込める。

 東京五輪に関われるのは体育を専門とする学生だけではない。熊本県立大は今年1月、大会組織委が連携大学へ講師を派遣し、五輪の準備状況や歴史、理念を学ぶ「出張講座プログラム」を実施した。組織委の技術開発の担当者を講師に、約300人の学生が五輪で使われる技術の変遷などを学んだ。しかし、2015年から全国で計130回以上行ってきた、この出張講座が九州・沖縄で開催されたのはわずか3回。熊本県立大で出張講座プログラムを活用した宮園博光教授(55)は「地方の大学にとって五輪は遠い存在」と関心の薄さを指摘した。

 福岡県内のある大学広報担当は同プログラムどころか「連携協定を結んでいることも知らなかった」と明かす。「遠い東京で行う五輪を見る楽しみは教えられなくても、大会を支える楽しみは教えられる。授業を通じて五輪を身近に感じ、ボランティアに参加するなど、支えることに関心を高めてほしい」。宮園教授は学生が支える楽しみを見いだし、東京五輪を次代に語り継いでほしいと願っている。

五輪組織委と大学の連携

 2014年6月に組織委と全国の大学・短大が連携協定を締結。現在は806校と協定を結び、九州・沖縄も福岡大や鹿屋体大など84校が名を連ねる。組織は具体的な取り組みとして出張講座やボランティア体験、図書館での五輪関連書籍の掲示、学内での公式ライセンス商品販売、各国代表の事前キャンプ受け入れなどを例示している。

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