生ハモのうま味凝縮 熊本・日奈久のちくわ 

西日本新聞 夕刊

 家族で熊本県八代市の日奈久温泉を訪ねた。俳人の種田山頭火も投宿したことで知られ、木造3階建て旅館が並ぶ小さな温泉街。夕食に旬を迎えたハモ料理を楽しんだ翌朝、路地を散歩すると、香ばしいにおいとともにカラカラという金属音が。特産の日奈久ちくわを焼く音だ。

 「片山蒲鉾(かまぼこ)店」で、焼きたてのちくわを試食させてもらった。プリプリッとした歯応え。かむほどに味に深みを感じる。淡泊な薄味かと思ったら、そのままでも十分おいしい。

 1921(大正10)年に創業し、不知火海で取れる生のハモやグチを使ったちくわ作りにこだわる同店。代表の片山新一郎さん(54)によると、練り物の原材料は魚だが、現在では冷凍すり身のみで作るところがほとんど。「作業に時間と手間がかかるばってん、わざわざ生の魚を使うとは、地元でとれる旬の魚の特性ば生かしたかけん」

 作業に欠かせないのが、先代から受け継いだ魚肉採取機だ。通称「ガッチャン」。これでさばいた魚の身と骨を分け、冷凍すり身や調味料を加えて、ちくわや天ぷらを作る。季節ごとの魚の脂や水分量を見て、最もうま味を引き出せるよう心掛けているという。

 お勧めはあまり冷やし過ぎないこと。「作業の合間に食べる、白ご飯おにぎりと焼きたてちくわの朝食が一番好き」と片山さん。煮物やおでん向けには、1度冷凍するとスが入り、味が染みて良いのだそう。

 ▼片山蒲鉾店 ちくわは5本入り650円。ほかに大ちくわ220円、一口サイズの天ぷら「ちっちゃい天」600円(すべて税込み)など。八代よかとこ物産館や旬彩館(九州自動車道宮原SA、JR熊本駅店、熊本城城彩苑・桜の小路店)などで。片山蒲鉾店=0965(38)0045(水曜休)。

PR

くらし アクセスランキング

PR

注目のテーマ