安全と景観どう両立?行政に難題 折れた松が車に衝突、11歳が死亡 国特別名勝の「虹の松原」

西日本新聞 佐賀版

 唐津市の国特別名勝「虹の松原」を走る県道で折れた松が軽乗用車に衝突して男児(11)が死亡した事故を受け、倒壊する恐れがある松の伐採を進めていた県は26日、県道の全面通行止めを条件付きで解除した。ただ、県は「通行に支障となる可能性がある松が残っている」とし、今後も伐採が必要との考えを示している。一方、県道は「松のトンネル」として市民に親しまれており、文化財保護を担う市には大規模な伐採に反対する声も寄せられている。安全と景観をどう両立させるのか―。行政は難題を突きつけられている。

 事故が起きたのは、松原を貫く片側1車線の県道。20日夜、幹回り約3メートルの松が高さ約6メートル部分で折れ、車に衝突した。唐津署が原因を捜査している。

 県唐津土木事務所によると、県道になった2002年度以降、道路にせり出した松の幹や枝が落下して車を直撃するなどした事故が19件起きたが、死亡事故は発生していなかった。今回の事故を重く見た県は21日から、県道4・6キロを全面通行止めにして緊急点検を実施。26日までに特に倒壊の危険性が高い松29本を伐採し、制限速度を30キロに引き下げるなどの条件を付けて通行止めを解除した。

 虹の松原の樹木伐採は、文化財保護法に基づき市教育委員会の許可を得る必要がある。県道に関しては、「道路上に落下する物体があってはならない」として伐採を求めてきた県に対し、市教委は「市民が400年守り続けた貴重な景観」(幹部)として認めてこなかった経緯がある。

 県は今後も、道に張り出すなどした松の伐採を市教委に求める構え。伐採対象となる樹木は100本を超えるとみられる。市教委は「申請があれば、本当に切る必要があるのか慎重に判断する」としており、簡単には結論が出ない可能性もある。

 虹の松原は市民がボランティアで松葉かきや草抜きをして保全活動を続けており、市には「拙速に切らないでほしい」と伐採を最小限にとどめるよう求める声も寄せられている。唐津商工会議所と唐津観光協会は25日、安全対策と松原の保護を両立させるよう求める要望書を提出した。同商議所の山下正美専務理事は「行政だけで伐採を決めるのではなく、保全活動に取り組んできた民間の意見も聞いてほしい」と訴えた。

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