【TOKYO2020 地方からの挑戦】(4)事前合宿 身近に選手 高まる熱気

西日本新聞 社会面

4月に大分市内で開かれたフェンシング・サーブル各国代表のキャンプで男子日本代表の徳南堅太選手(左)と記念撮影する子どもたち 拡大

4月に大分市内で開かれたフェンシング・サーブル各国代表のキャンプで男子日本代表の徳南堅太選手(左)と記念撮影する子どもたち

 鮮やかな剣さばきで地元の小中高校生を魅了した。4月に大分市内に世界7カ国の選手が集ったフェンシング、サーブルの合同キャンプ。74人が子どもたちと剣を交えて交流した。大分市では昨年6~7月にも13カ国110人が集っている。

 「大分は昔から専用のフェンシング場があり、強化に熱心。選手を見てもらって身近に感じてもらえれば競技への関心が高まる。キャンプを通じて地方創生にも貢献できれば」。日本フェンシング協会の福田佑輔強化本部長(37)は開催の意義を再確認する。五輪直前にも日本代表はサーブルが同市で、エペは大分県日田市で合宿する。

 キャンプを通じた五輪熱の高まりは、1964年東京五輪でもあった。競泳日本代表の男子が同県別府市、女子は北九州市で直前合宿を実施。女子は60年ローマ五輪女子100メートル背泳ぎ銅メダルの田中聡子選手(福岡・筑紫女学園高‐八幡製鉄)が拠点にしていた同市で合宿を行うため、日本水泳連盟が地元企業と協力し、63年秋に桃園市民プールを完成させた。

 当時九州では珍しかった屋内プールで、八幡製鉄の練習でも利用。200メートルバタフライで東京五輪に出場し、現在は同プールの管理事務所長代理を務める佐藤好助さん(76)は「今回も選手を身近に見るようになれば応援に熱が入るはず」と期待している。

 来年の東京五輪では九州各地で世界各国の選手たちが事前合宿を行う。政府は特定の参加国・地域と交流を図る地方自治体を「ホストタウン」と定め、134の国・地域に対して413の地方公共団体が登録。鈴木俊一五輪相は「地域の皆さんに、五輪に参加するという意識を持ってもらいたい。日本の次に自分の市町村がホストした国を応援してもらいたい」と願う。

 ただし、多くの場合、代表選手が来るのは五輪直前でホストタウン側は受け入れ準備に苦心している。福岡市は2014年に全国最速でスウェーデンの事前合宿の受け入れを決めた。今月10日から18日には同国の競泳チームが世界選手権(韓国・光州)に向けた事前合宿を実施。プールの水温について選手の反応を確かめる予定だったが、思ったような検証はできなかったという。

 福岡市の鷲頭史典スポーツ推進課長(50)は「ぶっつけ本番で臨むしかない。今後、訪問が増える他の競技団体のニーズにも応えなければ」と表情を引き締める。練習施設の環境整備や住民との交流をどうするか。準備期間はあるようで少ない。

 ◆ホストタウン 九州・沖縄では、スウェーデン、ノルウェーを相手国にした福岡県・福岡市や、オランダ、フィジー、ニュージーランドの佐賀県・佐賀市・嬉野市など6月28日現在で47団体が登録された。福岡県と連名で登録した久留米市は陸上長距離の強国、ケニアと、ボクシングなどが強いカザフスタンが事前合宿を行う。大相撲の大横綱、双葉山が生まれた宇佐市(大分県)は相撲を通じた交流を図る目的でモンゴルをホスト国とした。

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