亡き妻の願い果たすため…「約束」の灯籠、97歳が1年かけ完成

西日本新聞 北九州版

ほぼ30年ぶりに造ったという灯籠の横に立つ若松保隆さん。「妻との約束を果たせた」と話す 拡大

ほぼ30年ぶりに造ったという灯籠の横に立つ若松保隆さん。「妻との約束を果たせた」と話す

 亡くなった妻の願いを果たそうと、97歳の若松保隆さん(小倉南区)が手作りの灯籠を完成させた。若い頃からものづくりが好きで、長年、旋盤工として働いてきた若松さん。高齢で足が不自由だが、1年かけて1メートル60センチもある大きな灯籠を造り、自身が通うデイサービスの施設に寄贈した。

 島根県出身の若松さんは終戦後、住友金属小倉(当時)の工作課に入社して北九州の地を踏んだ。灯籠造りを始めたのは30代の頃。石材店に飾ってある立派な灯籠を目にして「ひとつ造ってみようか」と思い立った。

 灯籠は木型を作ってセメントを流し込み、削って成形する。「コツは成形の頃合いで、削る際に硬くても柔らかくても駄目。それが難しい」と語る。立派な灯籠が自宅の庭を照らし、家族の喜ぶ姿に手応えを感じた。以来、小さな灯籠も含め、60代までに20個近くを造った。

 昨年、一緒にデイサービスに通っていた妻キヌエさんに「施設のために灯籠を造って寄贈したら」と勧められた。そのときは「この年で造れるかい」と断ったが、この年の夏にキヌエさんが92歳で亡くなり、灯籠を施設に寄贈するのが約束だったような気がして、ほぼ30年ぶりに再び造り始めた。足が悪いので、立ったり座ったりする動作が楽ではないため、立ったまま造ったという。

 灯籠は施設の玄関に飾られている。「女房が見たら喜ぶけど、昔はもっと良い物を造っていた」と若松さん。それでも、お盆には灯籠の明かりをたよりにキヌエさんが帰ってくると信じている。

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