古民家、空き家、移住者が活用 カフェやレストランに再生

西日本新聞 長崎・佐世保版

 東彼杵町千綿地区で古民家や空き店舗をリノベーション(大規模改修)したカフェやレストランなどが次々とオープンしている。この3年余りで13軒を数え、さらに増えそうな勢いだ。多くは町外からの移住者が経営しており、地域の資産を「外」からの視点で活用したまちづくりが進んでいる。

 仕掛け人は一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」の代表理事、森一峻(かずたか)さん(34)。高校卒業後、会社員を経て実家が千綿地区で経営するコンビニを継いだ。人口減少が進み売り上げが伸びず、一時はコンビニ本部から契約打ち切りを通告された。思い付いたのが「コンビニとは正反対のマーケット開拓」だった。

 使われなくなっていた農協の米倉庫を改築し、2015年12月に集合型店舗「Sorriso riso(ソリッソ リッソ)」を開設。内部はテナントが入る2部屋があり、築60年以上のレトロな雰囲気が人気を集めた。

 ここでカフェや雑貨店を開いた移住者が、森さんの紹介で千綿地区の古民家や駅舎、倉庫などを活用して独立。17年には町への移住希望者をサポートする公社を立ち上げ、リノベーション店舗は次第に増えた。

 自家製酵母パン店「ちわたや」もその一つ。店主の前野高宏さん(36)、麻琴さん(36)夫妻は東日本大震災をきっかけに千葉市から熊本県南阿蘇村に移住したが、16年の熊本地震で住宅兼店舗が半壊。口コミで評判を聞いた東彼杵町を訪れ「地域で移住者を受け入れる雰囲気に感激してここに決めた」(高宏さん)。

 店舗となった古民家は森さんが仲介。千綿地区の移住者は森さんを中心にフェイスブックやLINEなどの会員制交流サイト(SNS)でつながり、しっくいを使った店舗の壁塗りには先輩の移住者も協力した。

 大村湾沿いでは、東京から移住を決めた斉藤仁さん(53)が元旅館をリノベーションしたゲストハウスの開業準備を進めている。長崎とは縁もゆかりもないが、県が移住希望者に貸し出すキャンピングカーで県内を巡り「海が見える景色が気に入った」という。町内唯一の宿泊施設となるゲストハウスは8月1日にオープンする。

 森さんによると、千綿地区での店舗経営をきっかけにした移住者は家族も含めて約50人。関東など県外からが半数を占める。森さんは「人口を増やすのが目的ではない。同じような価値観を持つ人が集まり、地域全体をリノベーションするようなまちづくりを進めたい」と話す。

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