井原東洋一さん死去、被爆者ら悼む 核廃絶 幅広く訴え 

西日本新聞 長崎・佐世保版

 30日に死去した県被爆者手帳友の会会長の井原東洋一(とよかず)さん(享年83)は長崎市議会議員を長く務め、被爆者の援護にとどまらず、反原発など幅広い分野で活動を続けた。海外にも積極的に出向いて核兵器廃絶を訴えた。行動を共にしてきた被爆者らは功績を振り返り、その死を悼んだ。

 長崎原爆被災者協議会(被災協)の田中重光会長(78)が8日前に見舞いに行ったときには話もでき、握手は力強かったという。井原さんとの付き合いは被災協会長になった2年前に始まった。友の会会長を2006年から務める井原さんは被爆者団体の重鎮。「核兵器廃絶だけでなく原発問題にも力を入れ、福島県にも行くなど幅広い活動をする人だった。惜しい人を亡くした」と語った。

 県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(79)は被爆者5団体の代表として、声明の発表や抗議活動などで肩を並べてきた。「東洋一」という立派な名前、それに負けない行動力が印象に残っているという。電力会社に勤めた経歴がありながら、原発に真っ向から反対する姿勢は異彩を放っており「極めて特異な存在。いろんな運動のリーダーだったのに…」と肩を落とした。

 被爆者の写真を撮り続けてきた長崎市の写真家、黒崎晴生さん(84)は井原さんと同じ小学校出身。内戦で都市無差別空襲を受けたゲルニカ(スペイン)にも足を運ぶなど広い視野の持ち主だったことを思い浮かべ、「最近は被爆の記憶を後世にどう引き継ぐかについて一生懸命考えていた」と振り返った。

 ここ数年、被爆の悲惨さ、平和の尊さを訴えてきた被爆者が相次ぎ鬼籍に入っている。2016年に長崎原爆遺族会会長の正林克記さん(享年77)、翌17年には被災協会長の谷口稜曄さん(同88)、元長崎大学長の土山秀夫さん(同92)。今年は県被爆者手帳友愛会の会長を務めた中島正徳さん(同89)が亡くなった。平和運動や原発問題で説得力のある発言を重ねてきた被爆者団体の運動は、重要な局面を迎えている。

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