大崎事件再審取り消しに抗議声明 九州・沖縄の弁護士会

西日本新聞 社会面

 鹿児島県大崎町で1979年に男性の変死体が見つかった大崎事件で、懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(92)の再審開始決定を取り消した6月の最高裁決定に対し、九州・沖縄6県の弁護士会が抗議したり批判したりする内容の会長声明を公表した。最高裁決定を巡っては、全国の刑事法学者92人も12日、抗議声明を出している。

 6月25日付の最高裁決定は、鹿児島地裁と福岡高裁宮崎支部の再審開始決定を取り消し、原口さんの再審請求を棄却。地裁、高裁の開始決定を最高裁が覆すのは初めてとみられ、6県の弁護士会は7月1~11日に相次いで声明を出した。

 タイトルに「抗議声明」と明記したのは大分と沖縄。大分は「(共犯とされた元夫ら)関係者の供述について、地裁と高裁は慎重かつ丁寧な判断を行った上で信用性に疑いがあるとしたが、最高裁は書面審理のみでこれを覆した」と批判。沖縄も「書面審理のみで再審開始の道を閉ざしたことは、無辜(むこ)の救済という再審制度の目的や『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の大原則に照らし重大な疑義がある」とした。

 佐賀は「最高裁決定には(共犯とされた親族の)知的能力や供述の変遷による信用性減殺を、慎重かつ詳細に検討した形跡が見られず、司法の最高府の判断として甚だ不十分」と主張。このほか、鹿児島は「旧態然とした自白偏重の判断は大変遺憾」▽熊本は「強く批判」▽宮崎は「極めて遺憾」と表明した。残る福岡、長崎両県の弁護士会は会長声明について「検討中」としている。

 相次ぐ声明について、学者声明の呼び掛け人の一人、成城大法学部の指宿信教授は「大崎事件では下級審が過去3回も再審開始決定を出している。証拠調べもせずにそれを退けた最高裁決定を、多くの人が法理論上も実務上も認められないと感じている証しだろう」と語る。

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