西原村6地区ごとに記録集 熊本地震被災体験まとめる

西日本新聞 熊本版

 熊本地震で大きな被害を受けた西原村で、被災体験を地区ごとにまとめた記録集が完成した。地域おこし協力隊員と住民が協力し、約1年かけて今春出来上がった冊子は、被災当時の様子を紙芝居風に描いたり、被災後の心理状態を年表にまとめたりするなど、住民のアイデアを取り入れ「六冊六様」の仕上がりとなった。

 村は2016年4月14日の前震で震度6弱、同16日の本震で震度7を観測。9人が死亡、56人が負傷し、家屋約2500棟が被災。避難所に一時1800人が身を寄せた。

 村によると、発生2年後の昨年4月ごろから、村民から「自分たちの被災の記録を残したい」という声が寄せられるようになった。当初は住民から体験記を募ったが集まらず、聞き取り調査をしてまとめることにしたという。

 記録集の編さんにあたり、古閑、大切畑、風当、畑、布田、下小森の6地区から編集委員を選出。話し合う中で「地区ごとにまとめた方がバリエーションができるのでは」という意見で一致。同年8月から今年2月にかけて、地域おこし協力隊員らが、地区の集会所や仮設団地などを回って体験を聞き取った。

 古閑地区は、地震直後は興奮状態で不安をあまり感じないが、徐々に時間がたつに連れ、家族や将来の不安が生じてくるなどの変化を「気持ちで綴る古閑年表」として作成した。大切畑地区は被災時の集落を描いた絵に説明文を添え、紙芝居風にまとめた。

 風当地区は人口83人のうち23人の体験記をA5判の冊子で制作。畑地区は地震時からの歴代区長など6人で「はたモンG6サミット」と称した座談会を開き、復興状況をまとめた。

 布田地区は、傾いた家屋や避難所の駐車場など住民が撮影した写真を紹介。下小森地区は体験記に住民の避難生活の写真を添え、避難所で食べた食事や仮設住宅での生活の様子を描写した。

 全地区を回り約50人から聞き取りした地域おこし協力隊員の吉丸和男さん(36)は「話を聞いていて、悩みや苦しみ、復興の進み具合は地区ごとに違うと改めて思った」と語る。「地震後、小学生の子どもがいまだに1人でトイレに行くのを怖がる」という話を聞き、地震から3年たった今でも内面の傷が深く残っていると感じたという。

 吉丸さんは、子どもたちからの聞き取りに関心をもつようになり、小中学生の体験談をまとめた記録集を企画中だという。

 6種類の記録集は、村役場や地区の集会所などで閲覧できる。「他の市町村の人にも読んでほしい」として、県立図書館などにも寄贈している。

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