被爆樹木 今年も命の息吹 27本の定期点検終わる 四方の枝に葉を茂らせ

西日本新聞 長崎・佐世保版

 74年目の長崎原爆の日を前に、長崎市内に残る被爆樹木27本の今年の定期点検が31日、終わった。点検を担った樹木医の松田学さん(52)によると、27本の樹勢は一部が少しずつ弱っているものの、今年も四方の枝に葉を茂らせ、原爆の惨禍を無言で伝えながら市民に憩いの陰をつくった。市は今回の点検結果を今後の保存や活用に生かす。

 市被爆継承課によると、爆心地から4キロ圏内には47本の被爆樹木がある。市は1992年に樹木を「被爆建造物」と指定。98年には被爆の痕跡がより強く残されているカシやカキ、ザクロなど30本を保存の対象としたが、うち3本は寿命が尽きた。点検は当初、樹木の所有者から依頼があったり、台風被害があったりした場合のみ行っていたが、2017年からは年1回実施し、今年は7月中旬に始まった。

 長崎市の淵神社境内に立つ樹齢数百年のクスノキには、原爆の熱線による傷が幹に残る。31日、松田さんがハンマーでたたいて音を聴いたり、幹の長さを測ったり、枝や葉の状態を目視で確認したりした。

 「原爆に遭っても成長していくたくましさがある“生きた遺構”として、伝えていく手助けができれば」と松田さんは話す。

 被爆樹木を巡っては、市が昨年度から保存費用を賄う基金を設立。民間の所有者を対象に、これまで75%だった補助を全額無料に引き上げた。基金の原資には、長崎市出身のシンガー・ソングライター、福山雅治さんがライブ会場などで集めた募金などが充てられている。

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