貿易戦争 トランプ氏焦り 景気減速に危機感か 「中国は私の落選を待ってる」

西日本新聞 国際面

 中国との貿易戦争の収束が見通せない状況に、トランプ米大統領がいら立ちを強めている。大統領再選には堅調な経済の維持が不可欠だが、自らが火を付けた米中摩擦が長引けば、農産品輸出や設備投資の一層の減少など、景気を冷え込ませかねないからだ。景気減速の懸念がくすぶる中、中国だけでなく、31日に10年半ぶりの政策金利引き下げに踏み切るとみられる連邦準備制度理事会(FRB)にも「大幅な利下げを見たい」とさらに圧力を強めるなど焦りを隠せずにいる。 (ワシントン田中伸幸)

 「中国は私が民主党候補に選挙で負けるのを待っている」。最近のトランプ氏はツイッターでよく、こうつぶやく。30日には記者団に「中国は民主党と貿易交渉をしたがっている。そうすれば米国の富を略取し続けられるからだ」との“陰謀説”を唱え、そうはさせないと息巻いた。

 中国からの輸入品への追加関税拡大をにおわせて譲歩を迫るなど、交渉の主導権を握っていると誇示してみせるトランプ氏。だが、中断していた米中閣僚級協議の再開にようやくこぎ着けたにもかかわらず、従来通りの圧力一辺倒の姿勢には、エコノミストから「合意への戦略が描けておらず奏功するとは思えない」と厳しい意見が上がる。

 米経済は直近の成長率が年初に比べ低下したとはいえ、株価は高水準で低失業率も維持している。ただ、出口の見えない貿易戦争が長期化すれば、景気への悪影響は避けられない。

 そうした危機感からかトランプ氏は、多くの経済専門家が「経済が好調な今は利下げ局面ではない」と指摘するにもかかわらず、FRBに利下げを求める口先介入を再三繰り返し、流れをつくった。金利引き下げによって企業に米国内での設備投資を促し、景気の底割れを防ぐ狙いとみられるものの、その効果には懐疑的な見方も少なくない。

 大型減税に伴う財政赤字悪化など、将来につけを残す経済政策にも批判が集まる。だが、政権寄りの保守系シンクタンクの研究員は「トランプ氏はそんな批判より株価の維持しか考えていない」と指摘。選挙時に有利に働く目先の成果の追求に固執する姿勢は、さらに加速すると予想する。

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