つるつる滑るひょうたんで、ぬるぬるしたナマズを捕まえられるか-…

西日本新聞 オピニオン面

 つるつる滑るひょうたんで、ぬるぬるしたナマズを捕まえられるか-。室町幕府4代将軍の足利義持が、こんな主題の水墨画を描かせた。九州国立博物館の「室町将軍」展で公開中の国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」だ

▼ひょうたんを手にした男が、川の中で身をくねらせるナマズを見つめている。義持は都の名僧を集めて解釈を問うた。知恵を絞った僧たちは「さぞかし腕の良い漁師だろう」「ひょうたんに油を塗れ。ますます滑って男は早く愚かさに気付く」…

▼この絵から「ひょうたんなまず」という言葉も生まれた。「捉えどころのないもの」「苦労しても手に入れられないもの」を指す

▼よく見ると竹が描かれている。中国に「ナマズが竹に登る」ということわざがある。「不可能なこと」または「不可能と思われたことが実現する」という意味だ。そこにも作者の含意が

▼問いを一つ。国は反目していても、民は仲良くできるか-。輸出規制などを巡る日韓対立の余波が自治体や民間に。韓国の釜山市は、姉妹都市の福岡、山口県下関両市との行政交流を中断すると発表した。全国でも交流事業の中止が相次ぐ

▼福岡では、韓国の旅行客が街を歩く姿はもう日常の風景だ。時の政権の思惑で、長年の交流の成果を台無しにしたくない。問いの答えはこうだ。民が冷静に知恵を絞れば、ナマズも竹に登れよう。過激な声にあおられて、ひょうたんに油を塗ってはならない。

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