被爆74年…体験残したい 手記募集に100件超 平和祈念館

西日本新聞 長崎・佐世保版

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)が市内の被爆者に手記の寄贈を呼び掛けたところ、多くの反響が寄せられている。4月からの4カ月で29件の寄贈があり、職員の聞き取りによる執筆代行の応募も77件に及ぶ。被爆から74年。記憶をとどめたい被爆者と、継承したい側の思いは一致している。

 1日、執筆代行のための初めての聞き取りが館内で行われた。体験を語ったのは、西川サワノさん(90)。約1時間かけて、これまで家族に断片的にしか伝えていなかったエピソードを明かした。

 爆心地から約3・5キロ、家事手伝いとして住み込みで働いていた中川町で被爆した西川さん。窓ガラスは爆風で割れ、空は真っ黒に染まった。一晩かけて実家に戻った際、西川さんの死を覚悟していた家族は再会を喜んだという。

 伯父は悲惨だった。爆心地から離れた工場にいた伯父がただ一人生き残り、爆心地近くの自宅で妻と子ども3人を、学徒動員先の兵器工場で残る3人の子どもを失った。4年後に亡くなった伯父は死ぬ間際にこうつぶやいた。「こがん原爆は人間を殺すとね」。今回、手を挙げた理由には「伯父の生きた証しを残したい」との思いもある。西川さんが語った内容は同館が体験記としてまとめて公開する。

 77件の執筆代行の依頼はすべて本年度中に聞き取りを終える予定。担当者は「体験を残したいという被爆者はまだいるはず」と話しており、寄贈や執筆代行への応募を呼び掛けている。祈念館=095(814)0055。 

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