起こせ!がばい新風-佐賀北 甲子園へ(中)堅実なプレーに磨き

西日本新聞 佐賀版

 県大会決勝はわずか9球で流れをつかんだ。先頭打者が三塁打を放ち、2番久保公佑が打席に。初球はストライク。監督のサインにうなずいた。スクイズだ。事もなげに一塁線に球を転がし、先制点を奪った。久保は「練習通りのプレーをしただけ。緊張もしなかった」と淡々と振り返った。

 練習では布団2、3枚をホームベースの横に敷く。そこに部長の下山勝也(55)が球を投げると、選手が体ごと布団に飛び込んでバットに当てる。下山は「スクイズを見破られた時の対策。対戦相手がバントを警戒するようになったので」。最悪を想定しているから選手に余裕が生まれる。

 県大会では出場39チームで最多の27個の犠打を記録。直球、カーブ、スライダーの3球種のピッチングマシン3台を駆使し、一、三塁方向の小型コーンを狙ってバントする練習をほぼ毎日繰り返してきた。

 「いい投手、いいチームに勝つにはバントが鍵」。エースとして甲子園を知り、監督として強豪校との試合を重ねた久保貴大(30)の野球哲学。決勝でも毎回、送りバントなどで得点圏に走者を置き、相手投手にプレッシャーをかけた。

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 佐賀北にとって堅実なプレーは必然だ。県大会の5試合で本塁打は0本。ヒットからバントなどでチャンスを広げて1点をもぎ取っても、守りきれなければ勝利を手にできない。

 守備練習でも基礎を磨くが、その手法は独特だ。胸の高さに水平にネットを張り、そのネットを選手がくぐって球を拾う。腰を落とす守備の基本が染みつく。キャッチボールもひと味違う。中腰で捕ったり、飛びながら投げたり。より実戦を意識する。

 県大会5試合で失策2は、4強に入ったチームで最少。久保は「接戦では、守備のワンプレーで勝敗が決まる」とみる。

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 甲子園も全員野球で臨む。下山は「うちは長距離打者もいないし、エースも技巧派。みんなで力を合わせないと勝てない」。

 エース川崎大輝の直球は120キロ台が中心で、速くはない。スライダーを織り交ぜ、打たせて取るスタイルを確立し、県大会5試合に登板し、4試合を完投。計36回を6失点に抑えた。

 カギを握る川崎の出来。そのエースを支える野手陣には「川崎を守備で援護したい」という空気が覆う。

 7月31日、校庭での最後の練習。原点に戻るかのように基礎的なメニューで終えた。グラウンドを向いて三塁線上に整列する選手たち。普段は一礼で終わるが、選手全員で歌い出した。「脊振天山並みよろひ~南有明海の風~」。12年前の甲子園決勝後、球場に響いた佐賀北高の校歌だった。 (敬称略)

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