韓国「利己的な迷惑行為」 対日強硬策、政治的効果も 輸出優遇除外

西日本新聞 総合面

 韓国政府は2日、日本が安全保障上の輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する閣議決定を行ったことに強く反発した。文在寅大統領は「世界経済に大きな被害を与える利己的な迷惑行為」と非難。ソウルの日本大使館前など各地で日本への抗議集会が開かれた。日本の植民地支配からの解放を記念する15日の「光復節」を控え、対日感情がさらに悪化する恐れもある。

 文氏は2日、生中継された臨時閣議で「韓国はどんな困難も十分に克服する底力がある」と国民に呼び掛けた。韓国メディアも日本の決定を一斉に伝え「日本は結局、レッドラインを越えた」などと批判した。

 日本が韓国向け輸出規制を強化して約1カ月。韓国では日本製品の不買運動が続く。「(日本統治期に)独立運動はできなかったが、不買運動はする」との言葉がインターネット上などで広がっている。

 「韓国の行動は、国内での反日感情をあおるために政治的な効果を計算して行われているきらいがある」(米政府高官)。韓国の保守系紙は2日、ロイター通信を引用して日韓関係の悪化を懸念する米国の立場を伝えた。保守系野党も文政権の外交手腕を疑問視するが、日本への反発は保守支持層にも広がり、政権批判の声はかき消されがちだ。

 7月末には、革新系与党のシンクタンクが対日関係の悪化は来春の総選挙で与党に「肯定的影響を与える」と分析した文書の存在が判明。責任者は謝罪したが、政権の対日施策が世論を意識して強硬に傾く韓国政治の構造を印象付けた。

 韓国・培材大の柳珍淑(ユジンスク)教授(政治学)は「現状の世論は経済的な影響などへの不安より、日本への反発によって感情的に同調し、強まっている」と指摘。民族意識が高揚する光復節を控え、警察当局者は「デモなど日本への抗議活動は当面、続くだろう」と警戒を強める。 (ソウル池田郷)

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■日本の強硬姿勢、米国から批判も

 日本政府が「ホワイト国」から韓国を除外する決定を行ったことについて、米国内では日韓の歴史問題に根ざす複雑な問題だけに「米政府の役割は限定的」との見方が支配的だ。ただ東アジアの安全保障上、日韓の連携が不可欠なため仲介を試みたものの、歯止めは利かず「強硬姿勢を崩さない日本への風当たりが強まる」との指摘も出ている。

 トランプ米政権の外交は中国との貿易戦争やイランの核問題など多くの課題で行き詰まりをみせる。北朝鮮の非核化問題も同様だが、日韓を含む国際協調の下で一定の緊張緩和を生み出している点では、トランプ政権の数少ない成果との評価が少なくない。

 しかし、日韓の対立が激化して北朝鮮包囲網がほころべば、非核化交渉は一層困難となりかねない。ある米政府関係者は「朝鮮半島有事への対応を考えても、米政権にとって最悪な状況だ。特に日本の姿勢は行き過ぎではないか」と不快感を示す。

 米国内では今回の事態について、米外交の「失点」との声も上がる。だが、日米韓の関係に詳しいシンクタンク・笹川平和財団米国のハリス研究員は「米国にできるのは両国に議論を促すことくらいしかない」と述べ、米政府に問題解決の役割を期待するのは難しいとの見解を示した。 (ワシントン田中伸幸)

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