【小児がん 母と娘の闘病日記】(18)母から 無理解に傷つく子どもや家族

西日本新聞 医療面

 退院したばかりの芙優(ふゆ)と買い物に行くと、よく好奇の目で見られました。帽子をかぶっていても髪が抜けていると分かるようで「どうしたの?」と聞いてくる大人もいました。そんなとき、芙優は困惑した顔で私を見上げました。芙優も私も外出するのがおっくうになった時期がありました。

 福岡市のがん専門病院でがんの子を持つ親の会を立ち上げ、現在は「がんの子どもを守る会」(本部・東京)の九州北支部代表幹事を務める私は、似たような体験談をたくさん耳にしてきました。学校や体育の授業を休みがちでいると「ずるしてる」と言われた。入院中、通っていた小学校に顔を出したら席も名前もなかった…。あからさまなからかいやいじめは少なくなったものの、周囲の不用意な言動は子どもたちの心に突き刺さります。

 親たちも傷ついています。「何を食べさせたの?」「病気になるような子が生まれたのはあなたのせい」。こんなひどい言葉を向けられたお母さんがいました。お父さんがわが子の病気と向き合ってくれず、入院の付き添いや治療方針の決定など全てを背負わされるお母さんもいます。子どもの闘病を機に夫婦の溝が広がることは多く、離婚に至ってしまう家族もいます。

 小児がんは1万人に1人という珍しい病気。病気への理解不足が、子ども本人や家族を苦しめているのだと思います。私自身、芙優が患うまで知らなかったことばかりで、皆さんが知らないのは当然です。

 芙優は今20歳。少しの配慮さえあれば、病気になる前とほとんど変わらない生活を送れています。ただ、これからの長い人生に闘病経験が影響するのか、しないのか。親にも見通せないことはまだ多いのです。

 小児がんを経験した子どもや家族が生きやすい社会にしたい。これからも講演会や募金活動などを地道に続け、実情を伝えていきたいと思っています。

 (山本章子=がんの子どもを守る会九州北支部代表幹事)

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