家庭内の性被害潜伏 「誰かに言えば迷惑を掛ける」

西日本新聞 社会面

■養女にわいせつ40代男懲役6年 大分地裁判決

 昨年8月に同居する中学3年の養女=当時(15)=にわいせつな行為をしたとして、監護者性交罪に問われた大分県佐伯市の40代の男に、大分地裁は5日、懲役6年(求刑懲役7年)の判決を言い渡した。

 有賀貞博裁判長は、妻と先夫との子である養女に対し被告は、花火大会に行かせることを認める代わりにわいせつな行為を要求したと認定。養女が中学生になったころからわいせつ行為をしており「生活を被告に頼らざるを得ない被害者に、継続的に応じさせる中で、さらに被害者が拒みにくい状況をつくり出して犯行に及んでいる。卑劣で悪質」と指摘した。

 被告は、養女の話は虚偽として一部無罪を主張していたが、有賀裁判長は「被害に至る経緯の説明は具体的で、養女の証言の信用性は高い」として退けた。

 判決によると、昨年8月、自宅で養女にわいせつな行為をした。

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 被害者の養女は公判で「わいせつ行為はすごく嫌だったが、誰かに言えば家族に迷惑を掛けると思った」と述べた。家庭崩壊を招くと家族内の性被害を告発できないケースは多いとみられ、専門家は「日本は潜在化率が高い」と指摘する。

 判決によると、養女は昨年9月、被告とけんかしたことを友人に話す中で、性被害を打ち明けた。養女は「小学3年から体を触られるなどしていた」(証人尋問での証言)が、被害を訴えなかった理由について「父がいない寂しさを、きょうだいに味わわせたくなかった」などと説明した。

 養女の兄も被告の不審な行動に気付いていたが、養女が否定し「妹が隠したがっていることを、自分が誰かに相談はできない」と葛藤していたという。

 全国の児童相談所が2018年度に対応した児童虐待のうち、性的虐待は1731件で全体の1・1%。この数字について、児童虐待防止協会(大阪市)の津崎哲郎理事長は「欧米の同様の調査では性的虐待は約10%。日本では潜在化率が高いと考えられる」。日本では、被害者が自分より家族のことを優先して考える傾向があるといい「気付いた周囲が救済に動かないと、家庭内の性被害は潜伏してしまう」と訴えた。

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