閉店「キャプテン」新たな船出 那珂川で39年愛されたコーヒーハウス

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 6月末で39年の歴史に幕を下ろした那珂川市松木の「コーヒーハウス キャプテン」が新たな“船長”を迎え、再出発する。岡本信行さん(68)、千賀子さん(64)夫妻が切り盛りした人気店だったが、調理担当の千賀子さんが体調を崩し、継続が困難になっていた。店を閉じるのは惜しいと後継者を探したところ、市民が会社を設立して引き継ぐことに。屋号はそのまま、メニューや雰囲気も可能な限り残す。今月21日のオープンを目指し、スタッフの訓練など準備が進んでいる。

 岡本さんは大分市出身。水産高校を卒業後、福岡市の漁業会社に就職。底引き漁船の船長として東シナ海でエビやカレイなどの漁に当たった。26歳の時に千賀子さんと社内結婚。給料は良かったが通常で1カ月、長いと3カ月も海で暮らす仕事は肉体的にも精神的にも負担が大きいことから「30歳で退職して陸に上がる」と決めた。

 1980年10月、ちょうど30歳の誕生日に退職。船の中でも自分で入れるほど好きだったコーヒーを仕事にしようと、その数年前から千賀子さんが物件を探していた。土地所有者と協議して建てた店舗は、外観は膨らんだ帆船の帆、内部の天井は船底をイメージした。

 オープンは同年11月。店名は船長を務めた岡本さんの経歴から取った。操舵(そうだ)輪を使ったシャンデリアや航海灯、船舶用の救命浮環などで装飾した。当初はコーヒーや、スパゲティ、カレーなど軽食が中心。定食などメニューも増やし、ランチにデートにと人気の店になった。

 ただ、長年の立ち仕事は体への負担も大きかった。「当初のコーヒー中心のメニューに戻すのは難しく、店を閉めるしかなかった」という岡本さん。知人に後継者探しを頼んでいたところ、その話を聞きつけた人物が現れた。

 那珂川市のまちづくり会社「ホーホゥ」社長で、宮崎県日南市の油津商店街の再生に成功したことで知られる木藤亮太さん(44)。4月ごろに閉店の話を知り、後継者探しに協力した。しかし簡単には見つからない。「チェーン店でなく、個性豊かな店は地域の財産」との思いで、友人と一緒に事業継承会社「バトンタッチ」を設立した。

 建物は丈夫で雨漏りもなく、大きな改修の必要がないため店内の雰囲気はほとんど変わらない。バトンタッチが雇用し、店長を務める予定なのが橋本悦子さん(39)。サイホンでのコーヒーの入れ方からカウンターでの立ち居振る舞いまで、岡本さんから厳しく、優しく、「キャプテン流」の指導を受けている。

 オープンは21日の予定。木藤さんは「店をよく知るお客さんと一緒になって、新しいキャプテンを育てていきたい」と力を込めた。

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