不動のエースより複数投手 出場校大半が継投策 夏の甲子園

西日本新聞 社会面

 炎天下の甲子園で球児の健康管理が課題となる中、特に負担が大きい投手の起用法に変化が見える。今夏の甲子園出場校の大半が複数投手による日替わり先発や継投策を導入。九州も熊本工など3校が2、3人の投手を軸に県大会を勝ち上がった。日本高野連が球数制限の検討に入り、大船渡(岩手)の佐々木朗希投手の起用法を巡っては議論が沸騰した。監督たちも練習から球数を制限するなど故障防止に気を配り、特定のエースに頼らない戦い方を模索する。

 熊本工は県大会初戦から決勝までの5試合で2人の左投手を交代で先発させ、うち4試合で右投手に継投した。投球回数はほぼ均等の「三本の矢」で甲子園をつかんだ。「『おまえが打たれたら終わりだよ』という采配は楽だろうけど…」と田島圭介監督(38)。「投手が複数いれば相手打者は対応しづらい」と戦術上の利点を強調する。

 高校時代にエースだった田島監督は「当時は球数を意識しなかった」。今は練習試合中でもマネジャーに正確な球数を報告させる。「投手を壊さないことが最優先だ。私の時と比べて、今の投手は幸せだと思う」

 4投手で大分大会を勝ち上がった藤蔭の竹下大雅監督(26)も「継投すれば投手は短いイニングを全力で投げられる」と肯定的。練習から球数の上限を設けるなど故障防止を意識する。

 「継投はタイミングが難しく、試合を壊すこともある。本格派の先発完投型投手がいるに越したことはない」。タイプの違う3投手を組み合わせて県大会を制した海星(長崎)の加藤慶二監督(45)の心境は複雑だ。しかし無理に完投させる考えはない。エース1人では大会を勝ち上がれないとも実感する。「優勝を狙うのはエース格が複数いるチーム。育成は不可欠だ」

 複数投手で試合に臨む学校が目立ち始めた背景には勝ち上がるほど過密になる大会日程と、猛暑がある。2017年の夏の甲子園では、準々決勝以降の全試合で、完投はなかった。

 甲子園常連の明徳義塾(高知)も今年は県大会を4投手で勝ち上がった。3日連続で試合をする大会もあり「1人の投手だけで勝ち抜けるわけがない」と馬淵史郎監督(63)。一方、完投を前提に投球術を磨いたり、終盤の苦しさを経験したりすることは「投手の成長に必要だ」とも考える。「結果的に中継ぎを任せる投手にも完投を経験させたい」。甲子園通算50勝の名将も試行錯誤している。

 「投手を壊してはだめだが、投げられる球数は一律ではなく、個人差があると思う。それを見分ける能力が指導者には求められる」と馬淵監督は指摘する。

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