「世の中を敵に回すことはできないもんな。できん」

西日本新聞 社会面

 「世の中を敵に回すことはできないもんな。できん」。かつて、九州で起きたある暴力団抗争事件のさなか、取材した組幹部が発した言葉だ。物騒な話だが、抗争を巡る関係者への取材で、ある襲撃の構想を明かされた。「社会は許さない」と強く抗議した。記者の反応を通して「世の中」の受け止めを推し量ろうとしたのだろうか。記者一人の異議が通じたとは全く思わないが、その襲撃が実行されることはなかった。

 当時、抗争事件の被告には厳刑判決が相次ぎ、暴追運動は高まっていた。幹部の言葉は、暴力に暴力で応じることの反社会性、無益さを痛感したもののように思えた。

 福岡県では、2014年9月に始まった県警による特定危険指定暴力団工藤会の「壊滅作戦」から5年を迎える。浮上している北九州市の本部事務所の撤去は、行政を巻き込み風雲急だ。担当記者たちは日夜、関係者への取材に努めている。 (庭木香充)

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