福岡県大牟田市の高校3年、古賀野々華さんが留学したのは米ワシントン州リッチランドという町…

西日本新聞 オピニオン面

 福岡県大牟田市の高校3年、古賀野々華さんが留学したのは米ワシントン州リッチランドという町。長崎原爆に使われたプルトニウムの生産基地だった

▼戦後も核関連産業が経済を支える「原子力の町」。原爆のきのこ雲は町のシンボルであり誇りでもあった。学校のロゴマークや学用品にもそのデザインが使われていたという

▼そんな米国での「当たり前」が、長崎の原爆資料館を訪れた経験もある古賀さんに違和感と疑問を募らせる。多くの人の命を奪った原爆は誇れるものですか。犠牲になったのは普通の市民なんです―

▼現地で思いを発信した。どんな反応が返ってくるか、不安や恐怖心さえあっただろう。反響は両論あった。「原爆のおかげで終戦が早まった」との肯定論は変わらずにある。一方で、あなたが声を上げなければ「日本側の考えを知る機会は一生なかった」との意見も届いたそうだ

▼原爆を落とした側にとって、立ち上るきのこ雲は軍事的にも政治的にも勝利の象徴である。だから、その下で起きた惨劇は国民に伝えられない。街や人が溶かされるように壊されたことを、知る機会も知らされる機会も多くはないと聞く

▼3日前の本紙にあった古賀さんの記事を読みながら、異国で振り絞ったであろう勇気の大きさに心が揺れた。「被爆国の国民として問い続けていきましょう」と18歳の若者に後押しされたような、今日は長崎原爆の日。

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